
会期:
2026/02/27〜2026/03/15[アデレード・フェスティバル]
2026/02/20〜2026/03/22[アデレード・フリンジ]
会場:アデレード近郊[オーストリア]
公式サイト:
https://www.adelaidefestival.com.au/[アデレード・フェスティバル]
https://adelaidefringe.com.au/[アデレード・フリンジ]
(「視察レポート①:フェスティバルとフリンジ」より)
では実際にどんなプログラムを観たのか。数が多くなるが、まずは一覧を示そう。末尾に星をつけたのはLGBTQ関連のプログラムだ。
▼アデレード・フェスティバル(9プログラム)
Simon Stone / Anton Chekhov / LG Arts Center『The Cherry Orchard』(演劇)
Windmill Production Company / Clare Watson / Virginia Gay『Mama Does Derby』(演劇)
re:group performance collective『POV』(演劇)
Australian Dance Theatre『Faraway』(ダンス)
GuoGuoHuiHui『Re-shaping Identity』(ダンス)
Alex Frayne and Donnie Sloan『Manifest Destiny』(美術)
Temeika Campbell, Zemiah Campbell, Carly Tarkari Doddほか『Kumarangk』(美術)
2026 Adelaide Biennial of Australian Art / Art Gallery of South Australia『Yield Strength』(美術)
The Tiger Lillies『Serenade from the Sewer』(音楽)
▼アデレード・フリンジ(24プログラム)
『Otto』(演劇とフィジカルシアター/コメディ)★
『FLIGHT』(演劇とフィジカルシアター/イマーシブ)
『SÉANCE』(演劇とフィジカルシアター/イマーシブ)
『INVISIBLE』(演劇とフィジカルシアター/イマーシブ)
『Takatāpui』(演劇とフィジカルシアター/ストーリーテリング)★
『My Grandpa Doesn’t Follow Me On Instagram: A Guide To Trans-generational Road-Tripping』(演劇とフィジカルシアター/コメディ)★
『Embers』(ダンス/コンテンポラリー)★
『You & I』(サーカス/フィジカルシアター)★
『Primal』(サーカス/キャバレー)★
『Haus of Yolo』(サーカス/キャバレー)★
『The Mirror』(サーカス/アクロバット)
『Gogo Bumtime』(キャバレー/コメディー)★
『Bernie Dieter’s Club Kabarett』(キャバレー/サーカス)★
『F.A.A.G: Footballers Are A Godsend』(キャバレー/コメディ)★
『Wonderfully Terrible Things』(キャバレー/サーカス)★
『Shake It』(バラエティ/バーレスク)★
『Tash York’s Chaos Cabaret』(バラエティ/ドラァグ)★
『1 Hour Of Insane Magic』(手品/ファミリー)
『Maho Magic Bar』(手品/インタラクティブ)
『Adults Only Magic Show』(手品/コメディ)
『Nan Goldin: The ballad of sexual dependency』(美術とデザイン/展示)★
『Kaurna Day – Tirkanthi – Ngutu – Taikurrinthi』(コミュニティイベント/イベント)
Honey Pot Spotlights at Courtyard of Curiosities(舞台芸術関係者向けショーケース)
Honey Pot Spotlights at Gluttony(舞台芸術関係者向けショーケース)
合計33プログラム、そのうち何らかのかたちでLGBTQに関わるものが14プログラムである。1週間でこれほど多くのプログラムを観ることができたのは、同じ会場で複数の演目を連続で上演するフリンジでは、ほとんどのプログラムの上演時間が1時間に収められていたということが大きい。しかも、例えば大規模会場のThe Garden of Unearthly Delights(通称Garden)とGluttonyには、公園の仮設会場の中にそれぞれ十数のテントを中心とした公演会場があり、ハシゴ観劇も容易なのだ。合間に軽食を取れる場所も多い。そもそも街自体がコンパクトで、移動にあまり時間がかからない。グリッド状の街並みは京都に似ているが、スケールとしてはずっとコンパクトでおよそ1マイル(=1.6km)四方。多くの会場は徒歩30分圏内である。夕方から観劇を始めても、観ようと思えば3プログラム程度は簡単に観られるのだ。
観劇日程を組むにあたっては、フリンジからLGBTQ関連のプログラムを中心にピックアップしつつ、フェスティバルのプログラムも可能な限り観るという方針を採った。LGBTQ関連のプログラムを除けば、私の関心に近いのはむしろ先鋭的な作品の並ぶフェスティバルのラインナップの方であり、そのあたりのバランスを取ったかたちだ。
ちなみに、フェスティバルにもLGBTQ関連のプログラムがなかったわけではない。滞在中に上演されていた『暴力の歴史』は移民やセクシュアルマイノリティへの偏見や暴力を描いた作品だが、東京芸術祭ですでに観ていたので今回は観劇を見送ることに。一方、『Whitefella Yella Tree』は、オーストラリアと呼ばれる以前の大陸にイギリスによる侵略が迫る時代を背景に先住民のクィアの少年たちの愛を描いた作品ということでかなり観たかったのだが、残念ながらスケジュールが合わなかった。
フリンジについてはLGBTQ関連のプログラムだけでも見切れないほどあったため、まずは評価の高いものを中心にセレクト。評判がいい作品が数年にわたって上演され続けるのもフリンジの特徴だ。ほかの芸術祭からツアーで回ってきている作品も多いため、無数のプログラムがあるとはいえ、どの作品が面白いかは事前にある程度あたりをつけることができるのだ。実際に観劇してみると、その予測は概ね妥当だったように思われる。それもフリンジの性格によるところが大きいのだろう。先鋭的・実験的な作品は評価が分かれがちであり、そのことが作品の意義を示す場合もままある。だが、エンターテイメントにおける評価の高さは、多くの観客が楽しめるクオリティをある程度保証する指標になるからだ。
フリンジの主要な会場のひとつ、ビクトリア・スクエア内の「Fool’s Paradise」[筆者撮影]
フリンジのジャンル/サブジャンルはかなり恣意的であり、例えば『F.A.A.G: Footballers Are A Godsend』(キャバレー/コメディ)と『Takatāpui』(演劇とフィジカルシアター/ストーリーテリング)はまったく違うジャンルかと思いきやどちらも歌を交えた一人芝居だったりするのだが、LGBTQ関連のプログラムはおおよそ3つのタイプに分類できる。1つ目はLGBTQの要素が含まれるフィクション。2つ目はクィアな出演者が含まれるサーカス・キャバレー等。そして3つ目がパフォーマー自身のLGBTQとしてのアイデンティティに基づく一人芝居だ。次回はこの分類ごとに観劇したLGBTQ関連プログラムを見ていきたい。
『F.A.A.G: Footballers Are A Godsend』トレイラー
(アデレード視察レポート③へ)※後日公開予定
滞在期間:2026/02/28(土)〜03/06(金)