「美術館の外」。膨大な美術作品のコレクションを収集・分類する美術館という装置の機能を否定的に見る立場の総称。「インスタレーション」「アースワーク」「パブリック・アート」のような、移設不可能な作品はいずれも美術館批判としての側面を持っているが、これらの動向がこぞって1960年代に出現したことは、美術館批判の論点が当時のカウンターカルチャーと分ちがたく結びついていることを物語っている。また、1950年代にCoBrAの運動などを通じてヨーロッパを部隊に展開されたシチュアショニスムにも、この観点の先駆を認めることができるだろう。もちろん、美術館の側もこのような論点の登場には敏感であり、1970年代以降は、オフ・ミュージアムで展開された美術作品をいかにして回収し、価値判断していくのかが美術館にとっての重要な責務となったし、近年の「ヴァーチュアル・ミュージアム」もまた、オフ・ミュージアムの「美術館化」の一環と考えることができるだろう。
(暮沢剛巳)
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