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展覧会レビュー

村田真 原久子

七福2002展
7/6〜9/8 弁天ギャラリー[愛知]
 
  台風13号が接近するなか、『地域創造』の取材で愛知県三河湾に浮かぶ佐久島へ。台風のなか『地域創造』の取材をするのは、先月の「デメーテル」に続いて2度目。佐久島は凹型をした面積1.8平方キロ、人口340人ほどの漁業と観光の島。同じ三河湾内の日間賀島と篠島より大きいが、人口は10分の1で、リゾート開発は圧倒的に遅れている。そのため過疎化と高齢化が激しく、島民の平均年齢は65歳を超えるという。そこで島の若衆(ったって40-50代)が中心となって「島を美しくつくる会」を発足させ、「三河・佐久島アートプラン21」を立ち上げ、その一環として「七福2002」が開かれたというわけ。島を一周すると、神社や古墳や弘法さんの祠が多いことに気づく。またリゾート開発が遅れた分、昔ながらの漁村風景が残されているし、三河湾の魚介類もおいしい。「七福」は、そんな島の魅力を、小川信治、中川佳宣、平田五郎、松蔭浩之ら7人のアーティストに再発見してもらおうという企画。アーティストにそれぞれビューポイントを決めてもらい、その場所のための作品プランを展示しているのだが、島内の風景を入れ子状に描いた小川信治の作品がいい。それとは別に平田五郎は、廃屋の庭を作品化した「緑の庭」を公開。これは直島の「家プロジェクト」みたいなもんだが、予算が圧倒的に少ないわりに実にいい感じに仕上がっている。
[8月18日(日)、19日(月) 村田真]
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大久保英治 ユーラシア・アートプロジェクト展
  8/21〜9/1 ヒルサイドフォーラム[東京]
 
 
大久保英治
東アジアの各地で現場制作を行ない、地域の交流をはかろうという「ユーラシア・アートプロジェクト」。その意義はともかく、作品の見てくれだけに関していえば、これはリチャード・ロング、あれはゴールズワージー、それはルイーズ・ネヴェルソンと松澤宥のミックスというふうに、他人の作品との類似ばかりが気にかかる。でも最近、模倣や剽窃も悪くないとも思い始めている。大久保さん自身も作品に他者の手が入ることを許しているし、自分の作品を「現代美術」とは位置づけていないようだし。むしろ「大久保英治」の名を消して、匿名性のなかで模倣や剽窃に身をゆだねれば、新しい地平が切り開けるかも。
[8月20日(火) 村田真]
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  イメージの新様態XII GARDEN
  8/20〜20 ギャラリーすずき[京都]
 
  3人の若手作家がGARDENをテーマにしたそれぞれの新作を発表。会場に入ってまず目につくのは大小いくつもの円形のガラスを2台の円盤のうえに張って回転させ、壁の余白を円形の鏡でランダムに埋めてゆく鬼頭健吾(京都市立芸術大学)の作品。モニターにはソフトフォーカスで撮った全裸の中性的な金髪少年が果実園を彷徨うシーンが映し出されている。これは塩原れじの映像作品。田幡浩一は横長のキャンバスにいくつかのポーズの女性と走る犬を描いている。出品者はみな現役大学生。
[8月20日(火) 原久子]
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  細見美術館 現代美術イベント
第0弾“HOSOMI TO CONTEMPORARY 000 -READYSTARTED-”
  1期 8/20/〜25 細見美術館[京都]
 
  茶道具のコレクションなどで知られる細見美術館は開館して5年になるが、はじめての現代美術の企画を、展示室以外の受付や通路、アトリウムなどのオープンスペースで行なった。階段を降りてゆく途中でふと目を横にやると、映像とドゥローイングを用いた渡部裕二のインスタレーション。そして、この企画のコーディネーターでもある中山和也は会期中のみの副館長の命を受け、会場内にいてささやかなサービスをしてくれる。岡本光博の作品である受付ブースの中のウサギの鼻をつけた係員には、意外とすぐには気づかない。正確には係員が作品であるわけではないが、鼻にあんなのをつけるのに協力してくれるなんて、それだけでイイ美術館だと単純な私は信じてしまいそうだ。この美術館を日頃訪れる人々は若冲の作品などを観にやってくるのだが、そんな人たちならきっと一緒にこの企画を楽しんでくれるんじゃないかな。
[8月20日(火) 原久子]
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割石ヒロミ展
8/20〜9/1 ギャラリーココ[京都]
 
 

久々に京都で個展をした割石。女性がいつものようにメインで登場するペインティング。こってりした色が彼女らしい。恋人を部屋に招いた登場人物は、お色気ムンムンである。なんで女性の肌はいつもピンク色なの?と質問してみた。納得ゆくほどの答えは返ってこなかったけど、熱い女の肌は、青じゃなくてピンクのほうがそれっぽいのはわかってる。隣室で発表していた濡れた衣服をストーブのまわりで乾かして、裸に靴下だけをはいて酒瓶をぶらさげている女性が「男前」で、私テキには一番よかったかな。
[8月20日(火) 原久子]

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大塚麻子展
8/19〜9/26 CAS[大阪]
 
  ギャラリーに入ってまずデジカメでポートレイトを撮ってもらう。すぐにプリンターからプリクラの状態になって顔写真が出てくる。さまざまな質問に答えるかたちで、自分について認識している位置にプリクラシールを張ってゆく。観に来た人がアンケートに参加することで作品が変化をとげながら成立してゆく。壁の質問ボードはすっかりいろんな人たちの顔でいっぱいなのだが、意外と全体にまんべんなく貼られている。本当に自分自身についてどう考えているかを真剣に考えて貼る人もあれば、違ったところに貼る人もいそうで、なにやら心理テストのよう。
[8月21日(水) 原久子]
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PRIMARY STATEMENT V
Part I 8/19〜24 Oギャラリーeyes[大阪]
 
 
PRIMARY STATEMENT V
ボディビルダーを描いていた坂川守は身体をモティーフにすることからは離れていないが、さまざまな対象を描くようになった。麻布に石膏を塗り表面にわざと繊維のごわごわした質感を残した支持体の上や、紙の上に描いたり、と実験的な試みをはじめた。半透明な層を作り出し、幾重にも重ねた絵画面と、無限に広がる物語り性をもつ絵を描く山村祐介。入谷葉子はビリヤード場でプレイする人々を絵画とシルクスリーンを混ぜた技法で描いていた。
[8月21日(水) 原久子]
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ロックアート展
6/1〜8/31 印刷博物館P&Pギャラリー[東京]
 
 
ロックアート展

ロックアートとは、ネイティヴアメリカンの祖先がアメリカ南西部の岩壁に彫った絵画的図像のこと。つまり典型的な「不動産美術」ですね。それをどうやって展覧会で見せるのかというと、やっぱり写真が中心。だけどそれだけでなく、印刷博物館館長にしてN・A・R・A(Native American Rock Art)探検隊長の粟津潔が描き写した図像のペインティングも展示しているのだ。館長が隊長を兼ねて自分の作品まで展示するなんて、カンチョーするで。
[8月22日(木) 村田真]

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シンポジウム「相互理解と歴史認識」
8/24 国立国際美術館[大阪]
 
 

「いま、話そう 日韓現代美術展」の関連企画として、北原恵、出品作家のブブ・ド・ラ・マドレーヌ、美術家の嶋田美子を迎えてシンポジウムが開かれた。嶋田と北原からは最近彼女たちが参加した韓国での美術展やフォーラムなどについて報告とコメントがあり、韓国のアーティストたちの作品の紹介や動向などが伝えられた。ブブからは彼女自身の作品を通してのステイトメントが発表された。
[8月24日(土)原久子]

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