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田中栄子展 underground |
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8/25~9/30 イナートギャラリー[大阪] |
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このギャラリーはいわゆる白い壁に囲まれたホワイトキューブではない。作品と呼応しながらスペースが、そして作品自体も空間と呼応してさまざまな見え方をする。田中栄子はさまざまな風景を独自の視点で切り取るが、椅子やテーブルが並ぶこのスペースで彼女の作品に目をやると、窓が開いていて、内側の世界とはまったく違った外の風景に誘ってくれるようにも見える。天井の開口部から入ってくる自然光が時間や天候によって変化し室内の様子を一変させると同時にペインティングの色にも変化を与える。
[8月29日(木) 原久子] |
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ダグ・エイケン ニュー・オーシャン |
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8/31~11/17 東京オペラシティアートギャラリー |
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1室めから2室めの作品へは音が両者を繋いでいた。観ている作品のなんらかの要素が次の作品へと連鎖してゆく。7つの個別の映像作品ではあるが、全体で一つのインスタレーション作品のようにも感じられた。
[8月30日(金) 原久子]
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才村昌子展 POSTURE |
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8/26~31 Space
Kobo & Tomo[東京] |
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ちょっと大袈裟な額にやや違和感も感じたが、作品は新鮮だった。海辺に立つ揃いの水着の女性が互いの腰に手を当てて立っている。顔もそうなのだが、筋肉質というか角張っていて、ビキニ水着だというのに妙にたくましい。印刷物などにあらかじめかきとめていた断片をコラージュしながら描いてゆく才村の絵。どこかでみたような気がしたのは、林真理子の本の装画などの仕事をしているからかもしれない。
[8月31日(土) 原久子] |
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塩津淳司展 flowering time |
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8/26~31 Gallery K[東京] |
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ギャラリー内いっぱいに円形にぶら下げされた点滅する3色の豆電球。靴を脱いで下にもぐり込んでゆき、カーペットの上に腰をおろし、ぼんやり点滅を観ていると、トリップしそうになってきた(蒸し暑い中、新橋から銀座1丁目まで画廊を歩きたおしてクタクタになっていたせいもあるのかと思うが)。白い布レースを花びらに見立てるようにして電球を包んでいるからか、ほどよくベールに覆われた感じの光り加減にますます意識を遠くに持っていかれてしまいそうだった。
[8月31日(土) 原久子] |
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今、ここにある風景=コレクション+アーティスト+あなた |
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7/27~9/8 静岡県立美術館 |
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長ったらしいタイトルだが、要するに現代のアーティストが静岡県立美術館のコレクションから数点を選んで、自分の作品とともに並べるという趣向。いってみれば企画展と常設展(あるいは現代美術と古典美術)のドッキング。ヨーロッパの美術館ではしばしばおこなわれているが、常設展ではなかなか人の集まらない(つまりコレクションが貧弱な)日本では、皮肉なことに企画展の予算が削られた最近になってぼちぼち見かけるようになった。静岡の場合、風景画を中心に古今東西から幅広く集めているうえ、ロダン館もあるので選択肢が豊富だ。出品作家は大岩オスカール幸男、日高理恵子、菱山裕子、吉田暁子の4人。オスカールはユベール・ロベールの廃墟の絵と自分の描いた都市風景を並べていてわかりやすいし、日高は自分が影響を受けたレンブラントの銅版画やセザンヌの風景画などを選んでいるし、菱山は大胆にもロダン館でロダンの彫刻にからんでいる。でもいちばん難解でおもしろかったのは吉田暁子。陳列ケースのなかに池大雅や李禹煥らの作品を入れて、そのガラス面に和紙を貼ったり、壁面に目立たないよう板をつけたり汚したり、本物の常設展示室にまでインスタレーションしている。吉田もエライが、彼女にこんなことをやらせた学芸員もエライ。
[8月31日(土) 村田真] |
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GEISAI-2 夢工場の逆襲 |
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8/31・9/1 東京ビッグサイト西4ホール |
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春の「GEISAI-1」と比べて規模は2倍に拡大、参加者は約800組1200ブースという。まあ大半は似たり寄ったりのイラストなので、1ブース5秒で通過だが、それでも全部見るのに1時間40分かかる計算だ。ごく稀に足を止めさせる作品もあって、たとえば、松山賢のロリコン・ペインティングや山口哲一のプロレス木版画はそのまま銀座の画廊でも売れそうだし(どうせなら世界をめざしたいが)、自分の葬式写真を撮った浅田政志もイケてる。原稿用紙に「精子精子精子……」と書き続けて1枚120円で売る松永天馬や、ウンコの標本を出した藤原幸司などはいい意味でサイテーですね(名前違っていたらゴメンなさい)。それでも印象に残るのは全体の1パーセントあるかないか。せめて打率を1割くらいにまで引き上げなければ、さらに参加者倍増をめざす「GEISAI-3」は、見る者にとってはツライ修行になりそうだ。
[9月1日(日) 村田真]
すでに会場を見終えた村田さんと入口で遭遇。疲れ果てた顔をしているのをみて、入場券を買う気が失せたが、ここまで来て帰れないと勇気を振り絞り1200円払って入場する。村上さんの父上も出店していて、手づくりのチョウチョ型のお守りなどを販売。前回にも増して出店ブースも増えたようだったが、祭を祭っぽくしようと汗をかいているのは、村上氏を含むスタッフたちだけに見えて、切なくなる。そんなところへ、宇治野氏が小さな山車に載せたハリボテの群集を引きつれやや照れながらシュプレッヒコールしているので、思わず弥次を飛ばしてしまう。一方、会田誠夫人の岡田裕子さんのシュプレッヒコールは堂々としていてカッコよかった(さすが母さん)。会場をまわるが、なかなか面白いものと出会えない。ゴージャラスのライブは、松蔭浩之氏のロックンローラーの魂というか、ナリキリぶりを予想以上に楽しめて1200円を取り戻した気がした。ナリキルって素敵だ。祭に参加する以上、単にブースを出店してちょこんと座っているだけではイカンように思った。やぱり祭らしくそれぞれが皆で盛り上げていかないとね。
[9月1日(日) 原久子] |
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Scratch Tile Screening+Lecture
Series#13 Sweden Report
ストックホルム・レジデンス報告 by 神谷幸江 |
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9/1 スクラッチタイル[横浜] |
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ストックホルムのIASPISというアーティストインレジデンスで1カ月を過ごした神谷さんのレアなスウェーデン情報を拝聴。96年に設立されたIASPISは10人前後のアーティストおよびキュレーターなどが滞在。international
programは推薦制で1~6カ月滞在可能。local programは地元の若手の公募制。その他ノルディック諸国からの枠もある。いろいろな背景を持つアート関係者の交流の場ともなっているらしい。神谷さんと同時期に滞在したアーティストたちの作品紹介等のほかに、スウェーデンの他のアートスペースの紹介もあった。神谷さんと一緒に北欧に出掛けた気分を味わえる臨場感溢れるトークを満喫して大阪へ帰る。
[9月1日(日) 原久子] |
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萩野美穂個展 裏窓-rear
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9/2~7 大阪府立現代美術センター展示室B |
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都市の中に日々暮らしていると、ヘンだと思いながらも、見過ごしたり、わかっていながら、見てみぬふりをしてしまうことが沢山ある。他者に関与することにいちいち神経質になったり、そのうち、鈍感になっていったり。「他者の存在に意識的になる」と、ある作品のはじっこに書いてあった。意識してみると視界が急に開けてゆくこともきっとあると考えたい。
[9月3日(火) 原久子] |
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