私たちの日常生活の周辺には鉄からできたものは数限りなくある。これがなくては現代生活は成り立たない。作家が子供の頃住んでいた家の横に放置されていた鉄の大きな器。兄とこの中に入ってよく遊んだのだとテキストに書かれていた。金澤の写真の中の鉄は観る者の記憶をまさぐり、掘り起こしてゆく。 [9月10日(火) 原久子]
瀧口と同じく詩人にして画家の田中清光の詩とデカルコマニーによる展示。企画した佐谷和彦氏によれば、瀧口と田中はともにイニシャルがSTで、第1回オマージュ瀧口修造展のカタログのテキストを書いたのも田中という奇縁だそうだ。しかも佐谷と田中の両氏も45歳で銀行マンを辞め、瀧口を心の師と仰ぎつつ自分の道を歩み始めたという点でも共通している。これはもう瀧口―田中―佐谷の三位一体としかいいようのない展覧会。 [9月10日(火) 村田真]
花のようなパターンの入ったガラス作品。テーマは「空華(くうげ)」で、病んだ人が虚空をながめるとあるはずのない花が見えるといった意味。でも作品は矩形の枠に閉じ込められて窮屈そうだ。 [9月10日(火) 村田真]