地下ガレージ部分を使った若手作家の映像インスタレーション。風にあおられ真っ赤に燃えさかる炎の映像が部屋のぐるりを取り囲むように投影されている。オーディエンスは扇風機の風を受け、さらにDiorの香水の香りまで漂って、なんだか不思議な作品。Diorのせいじゃないけど、あの香りは不必要だった。 [9月16日(月) 原久子]
ミラノを拠点に活躍する廣瀬智央が、所蔵品であるモネの《睡蓮》の作品群と安藤忠雄設計の空間とに向き合って出した結果がこの展示空間。地上に出ているガラスの部分にブルーのフィルムを張り、そこから展示室までこぼれ落ちてくる光と影、ブルーのフィルムに映り込む木々などさまざまな効果が出ている。また展示室のモネの《睡蓮》の間には廣瀬が世界各国の空を撮った写真が展示され、絵のなかの水面と空が呼応。薄いブルーの布に包まれた展示室中央の天窓から入る光を観客は体感することになる。空の絵葉書に切手を張って透明のボックスに投函すると数カ月後に宛名の元に廣瀬がイタリアから投函する葉書が届くことになっている。展覧会から帰った後の余韻が、忘れた頃にやってくるというわけだ。 [9月19日(木)原久子]