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展覧会レビュー

村田真 原久子

  現代美術への視点 連続と侵犯
  10/29〜12/23 東京国立近代美術館[東京]
 
 
連続と侵犯
巨大な堕天使を前庭にインスタレーションしたカバコフ、スケールをはずした赤ちゃん人形のロン・ミュエク、シャボン玉でドローイングするロラン・フレクスナー、クレイアニメの最高傑作を見せてくれた高嶺格など、けっこう楽しめた。でも「美術史への連続と侵犯という矛盾を前向きに生き」ている10作家を選んだのはいいけれど、作家同士、作品相互の連続と侵犯が感じられない。つまり展覧会自体がタテ割り構造で、ヨコのつながりが希薄なのだ。なかでも最近お騒がせの中山ダイスケが浮いている(作家が、ではなく作品が)。
[12月10日(火) 村田真]
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  児嶋サコ さす?!
  11/22〜12/14 Studio J[大阪],12/9〜14 Oギャラリーeyes[大阪]
 
 
児嶋サコ01
Studio Jでは、オブジェの好きな場所に針を刺すようにと入口に記されていた。小動物的なオブジェが棚の上に、赤い頭で長い首の亀が床に並ぶ。亀の甲羅からはニョキニョキと男根らしきものが生えているが、私が見た段階ではまだここに針を刺した人はいなかったようだ。目玉の上など、かなりマゾ的に挑んでいる人もいた。私はこっそり亀のしっぽの先に針を刺してきた。一方のOギャラリーeyesではハムスターに扮した児嶋サコのパフォーマンスが会期中ずっとライブで見れた。画廊の展示スペースを半分に透明のアクリルガラスで区切り、木屑やえさが散乱した場所を住処に時には寝ていたり、時にはえさを食べたりするハムスター。見られる方もたいへんだが、見る側も「痛々しい」などと思ったら直視出来なくなっていく。長時間に渡る体当たりのパフォーマンスなので、定点観測的に毎日様子を見に行くことができればよかったな、と1日しか行けなかったことが悔やまれた。
[12月10日(火) 原久子]
児嶋サコ02 児嶋サコ03 児嶋サコ04
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三河・佐久島アートプラン21 佐久島体験2002 祭りとアートに出会う島 栗本百合子展
  10/19〜12/28 佐久島弁天サロン内弁天ギャラリーほか計4カ所[愛知]
 
 
佐久島
一色港から船で約30分。風は強いが天気は上々、すっかり小旅行気分でたどり着いた佐久島。佐久島弁天サロン内・弁天ギャラリーは古い民家を改築して島民の憩いの場あるいは集会所として利用されている。栗本は9月22日から3週間かけてボランティアの島民の方々と学生とで、佐久島漁協漁具倉庫、佐久島漁協集荷場、共勢丸漁具倉庫の3カ所をただの建物から作品に一変させてしまった。彼女の目線で見た倉庫等が、どんなふうに変化したのかすでに写真などで見ていたのだが、窓から差し込む光や海の音を聞きながら見るとまるで印象が違う。床に天井と同じ梁などの構造物をつくって、天井がまるで下の鏡に映っているように作品化した《佐久島漁協漁具倉庫》など。
[12月11日(水) 原久子]
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  ヘンリー・ダーガー展
  11/29〜4/6 ワタリウム美術館[東京]
 
 
ヘンリー・ダーガー展
人知れず1万5千ページにもおよぶ膨大な物語を紡ぎ上げ、人知れず81歳で死んだヘンリー・ダーガーも、いまやもっともポピュラーなアウトサイダーアーティストのひとりにかつぎ上げられてしまった。今回は、彼の死後発見された通称「非現実の王国で」と呼ばれる荒唐無稽な物語の名場面集とでもいうべき展示で、彼がコピーした新聞や雑誌などの資料も公開されてとても興味深い。いったい彼はどういうつもりでこれを描き続けたのだろう。彼のアパートの大家がアーティストでなかったら、その作品はどうなっていただろう。そして自分の作品が世界各地で展観され、出版物になっていることを知ったらどう思うだろう。
[12月11日(水) 村田真]
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  東京ガールズブラボー2
11/29〜12/25 ナディッフ[東京]
 
 
東京ガールズブラボー
ヘンリー・ダーガーの壮絶なヴィヴィアン・ガールズを見たあとは、村上隆キュレーションによる7人のジャップ・ガールたち。ひょっとしたらダーガーの「非現実の王国で」とは、21世紀の日本のことかも……。
[12月11日(水) 村田真]
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  斎藤芽生「遊隠地」
  11/26〜12/21 セゾンアートプログラムギャラリー[東京]
 
 
斎藤芽生「遊隠地」
日本的なようでいて西洋的・中国的でもあり、古いようでいて新しくもあり、イラストのようでいてイラストではない、実に奇妙な絵。その分類不能の宙吊り状態が彼女の持ち味か。
[12月11日(水) 村田真]
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