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展覧会レビュー

村田真 原久子

池内晶子展
6/16〜28 ギャラリー21+葉[東京]
 
 
池内晶子展
ドアを開けて靴を脱いで上がる。壁の四方から赤い糸が伸びてギャラリーの中心点で結ばれ、そこからまた赤い糸が垂れている。四方から伸びた糸は東西南北を示し、垂らした糸は少しずつ結んでコブになっている。ぼくが訪れたときはパフォーマンスのあとで、すでに大半が撤去されていたが、最初は計700mの結んだ糸が床に螺旋状に広がっていたそうだ。作者によれば、労力の大半は糸を結んで小さなコブをびっしりつくることに費やされるらしい。こういう徒労に近い行為は美術が閉塞状況に陥るたびに現われるようで、その意味では今という時代をよく反映した作品といえる。
[6月27日(金) 村田真]
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田中朝子展
6/16〜7/11 Baseギャラリー[東京]
 
  白バックに白い砂糖や、紙バッグ、カップ&ソーサ。白いものを撮った作品だけを選んで展示している。すでに大阪では何度も見ているはずの田中朝子の作品が、空間や照明のせいだろうか、販売物には違いないのだが場所が変わると「売り物」っぽく見えた。
[6月28日(土) 原久子]
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希望/HOPE −未来は僕らの手の中に
6/28〜7/6 ラフォーレミュージアム原宿[東京]
 
 
希望/HOPE −未来は僕らの手の中に
ぴあ通関1000号記念の展覧会。荒木経惟、奈良美智といったお馴染みのアーティストから浅野忠信、北野武まで、オールスターのグループ展。入口には草間彌生の水玉のバルーン。眠り人形の「目」の部分だけを直径2m以上もある円盤に張り付けた椿昇の名作(タイトル忘れました)は、回転することで瞼を閉じたり開いたり、その光景が波のようで美しい。久々にこれを観ただけでも儲けものだと思っていたら、白いウワッパリに白長靴の三宅信太郎が着ぐるみでラーメン屋「ホープ軒」のライブペインティングをやっていた。黙々と絵を描く後ろ姿にちょっと惚れる。ミーハー気分を炸裂させて帰路につく。
[6月28日(土) 原久子]

希望/HOPE −未来は僕らの手の中に
希望/HOPE −未来は僕らの手の中に
『ぴあ』通巻1000号(2003年4月28日発売号)を記念する展覧会。「アートのロックフェス」をめざしたというだけあって、 草間彌生から森山大道、北野武、舟越桂、永瀬正敏、奈良美智、浅野忠信、タカノ綾までにぎやかだ。この支離滅裂なラインナップといい、臆面もない前向きなタイトルといい、いかにもぴあらしくていいのだが、問題は、これが「展覧会」になってないこと。展覧会というのは作品そのものもさることながら、作品と作品の「あいだ」を読み取ることでいっそう豊かな体験を得られる器のはずだが、ここでは作品と作品のあいだには分厚い壁しかなかった。ま、「アートのロックフェス」だもんね。
7月3日(木) 村田真]
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Art in Transit vol.5
6/28、29 パレスサイドホテル [京都]
 
  京都御所の横にある閑静なパレスサイドホテルで継続して開催されているプロジェクトArt In Transitは、3階の客室にアーティスト達が数日滞在して、作品をそこで制作して展示するというもの。年に2回開かれているこの企画も6回目を迎えた。今回のイチオシは黒川彰宣の作品―客室のバスタオルや足ふきタオルなどで作ったホワイトタイガーの敷物に、シーツでつくった象牙の置物もどきーでした。
[6月29日(日) 原久子]
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山倉研志展
  6/30〜7/26 村松画廊[東京]
 
 
山倉研志展
何層にも塗り重ねた地のうえに、赤い絵具を大胆にほとばしらせた絵画。案内状の図版ではそう見える。でも現物を見ると、赤い絵具はほとばしってるのではなく、あたかもほとばしってるかのようにていねいに塗られていることがわかる。ここには地と図の関係、イリュージョンの問題、そして「画像(picture)」と「塗り(painting)」という絵画の二面性が凝縮されている。
[6月30日(月) 村田真]
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陸根丙展
  6/30〜7/12 ギャラリーQ[東京]
 
 
陸根丙展
こんもり盛りあがったオバQみたいな山の上に、目を映し出すモニターをはめ込んだ作品で知られるユックさん。韓国のアーティストとしてはいち早く国際舞台に踊り出て、1992年にはドクメンタ9に選ばれたものの、その後、彼より若いアーティストが次々と現われて最近ちょっと影が薄かった。今回はシルクスクリーンの大作に素描の展示。
[6月30日(月) 村田真]
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ハンナ・ヘーヒ1889-1978
  6/14〜7/13 町田市立国際版画美術館[東京]
 
 
ハンナ・ヘーヒ1889-1978
ダダのおばちゃん。タダのおばちゃんじゃないよ。昔はヘッヒと表記してたけど、いまはヘーヒだ。どっちにしても日本語的にはあまり美しくないが。作品は1920年代から60年代までの写真を使ったコラージュが30点あまり。不穏な時代を反映した20―30年代、抽象絵画のような50年代、ポップアート風の60年代、というように時代による変化がたどれる。
[7月3日(木) 村田真]
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