DNP Museum Information Japan - artscape
Museum Information Japan
Exhibition Information Japan
Recommendations
Exhibition Reviews
HOME
展覧会レビュー

村田真 原久子

東明展
7/12〜8/9 児玉画廊[大阪]
 
 
東明展
東明展
土壁に用いられていた土を再生してつくった全長約9mの巨大な彫刻(?)は、雑木や枝を組み立てて基礎をつくっている。頭がすっぽり隠れてしまうカプセルのようなベンチが両端にあり、座ると顔の部分に穴が開いてトンネル状になっていて、お互いの顔が遠くにかすかな光のもとに見える。両端を結ぶジグザグの通路をたどってゆくと、途中で顔の見えるトンネルをくぐり、顔しか見えない相手と「こんにちは」ということになる。
第2室は、床にラテックス素材を格子に編んだ敷物があり、その上を鑑賞者は歩くのだが。決められた矩形の部屋の床にそれより大きめにつくった敷物を敷くことで歪みやズレなど、さまざまな現象が起こる。
新しい展開の床の作品も、彫刻と併せて体験することで、さらにいろんな意味合いが出てくるよう思われ勝手にフムフムと納得。
[7月12日(土) 原久子]
top
PHスタジオ「船をつくる話2003―まっているあいだ」
7/9〜27 灰塚ダムエリア[広島]
 
  前夜、車で県東北部の三良坂町にあるPHスタジオの事務所に着。今日は雨天のなか「船をつくる話」のプロジェクトサイトを見てまわる。灰塚ダムの水底にあたる制作現場には、伐採された木を使って全長60メートルの船が姿を現わしている。2年後のダム完成時には水を最高位にまで上げる試験湛水が行なわれるが、それに乗じてこの船を丘の上に持ち上げ、その状態で水面が下がるのを待って固定しようという計画だ。ダムのために伐採された木を使うので「森の引越し」という意味もある。今年はとりあえず船の本体ができたので、ダムの完成を「まっているあいだ」にゲストを招いてのミーティングや、ダムエリアの動植物をテーマにしたワークショップを行なっている。その成果が広島市内の旧日銀で紹介されているというわけ。それにしても、最初にこのプランを提案した1994年にはだれも実現するとは思わなかったが、ここまでくるとかなり現実味を帯びてきた。てーしたもんだ。
[7月13日(日) 村田真]
top
高柳恵里展
5/29〜7/21 国立国際美術館[大阪]
 
 
高柳恵里展
あの高柳恵里が国立国際美術館で個展を開いてるという。巨大空間に拮抗すべく巨大な新作を発表するのか、それとも例のショボイ作品で脱力させてくれるのか。それだけの興味で広島からの帰り、大阪に立ち寄ってみた。結果は期待を裏切るものではなかった。巨大な展示空間はガラーンとして、いくつか置かれた台の上に折りたたまれた布や文庫本、コップや鉛筆がショボショボと並んでいるだけ。唯一の大作は、奥の収蔵庫に設置された無意味な自動ドアのみ。国立美術館での個展だからといって決して力んだりしないところは、さすが高柳である。美術館側もよくやらせたもんだが、まあこれなら経費もかからないしね。
[7月13日(日) 村田真]

友人から無料観覧日に行ったら作品の横を何も見ずに通り過ぎてゆく年配の人たちがいたと聞いたが、それもわからなくない。ハンカチが几帳面にたたんで重ねられていたり、Tシャツが複雑な折り方でたたまれ、低い台座に載っていたりする。私が個人的に一番のお気に入りだったのは《小枝》(2002)。小枝が自然にはえた状態ではあり得ない形状に接着剤で細工されている。“ひそやか系”だが、ひそやかに強かった。
[7月20日(日) 原久子]
top
伊達伸明 建築物ウクレレ保存化計画
7/1〜13 アートスペース虹[京都]
 
  建て替えなどでその姿をなくしてしまう建物の廃材を用いてウクレレをつくって保存するのが伊達伸明の「建築物ウクレレ保存化計画」。今回は京大の時計台下にあった教室のものや、火災により大きな被害があった大阪・法善寺横町の老舗のバーのカウンターからつくったウクレレなどが展示された。それぞれに建物を使っていた頃の歴史や、そこを使っていた人の個性が味わいとして出ていて、毎度感心させられる。ライフワークとしてきっとこの計画は続けてゆくのだと思うけど、いつか大きな展覧会にして、ウクレレの大演奏会もやって欲しいな、なんて思うのはきっと私だけではないはずです。
[7月13日(日) 原久子]
top
cast-anet タダヨウ
  7/8〜13 立体ギャラリー射手座[京都]
 
 
cast-anet
10脚の椅子を背中合わせに置いた待ち合い室。映像が揺らめき緊張が高まる。作品は1人ずつしか体験できないということで、待たされるこの時間と空間も、プロローグとしての作品なんだろう。やっと順番がまわってきて真っ暗な部屋で椅子に座ることを促される。正面にあるわずかな赤いLEDの光以外はなにも見えない。椅子がゆっくりとしたスピードで動いたのち、周囲のいくつものスピーカーからサウンドが聴こえてくる。空間の広さや距離感が失われ、自分自身の集中力が奇妙な高まり方をしていくのに高揚した。
[7月13日(日) 原久子]
top
染谷謙介展
  7/14〜19 ギャラリー山口[東京]
 
 
染谷謙介展
一見もやっとした抽象画みたいだが、よく見るとトンボだったりして。ちょっとおもしろいけど、まだまだ展開の余地あり。
[7月14日(月) 村田真]
top
Animal Heart
7/14〜26 ギャラリー山口[東京]
 
 
Animal Heart
風間サチコ、高橋唐子、竹本博文、時枝崇という、ひとことでいえば「おもしろ系」の4人展。木版画の風間は鶏の骨で組み立てた車のオブジェも出している。
[7月14日(月) 村田真]
top
佐野陽一展
7/14〜26 Space Kobo & Tomo[東京]
 
 
佐野陽一展
信州の小さな湖をピンホールカメラで撮った写真。ボケボケなのはピンホールの穴が大きいからだそうだ。この手づくり感や対象との親密感は、既製のカメラでは得がたいものだ。
[7月14日(月) 村田真]
top
   



ArtShopArchivesArt LinksArt Words
prev up next
E-mail: nmp@icc.dnp.co.jp
DAI NIPPON PRINTING Co., Ltd. 2003
アートスケープ/artscape は、大日本印刷株式会社の登録商標です。