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「一枚の布」三宅一生

“A Piece of Cloth”, Issey Miyake
更新日
2024年03月11日

日本を代表するファッション・デザイナーである三宅一生が、1973年のパリ・コレクション初参加時に発表した、インドのサリーや日本の着物などから着想を得た、一枚の布を身にまとうことで完成する衣服およびそのコンセプト。西洋の衣服は、基本的に身体のラインに沿って立体的に成形されるが、「一枚の布」では、平面状の布をたたんだり、折ったり、切ったり、くり抜いたりすることによって、布が衣服たりうる構造となっている。三宅は現在に至るまで、このコンセプトのもと、西洋や東洋といった概念に捉われない普遍的な価値をもった衣服を生み出すことを目指している。93年にスタートした「プリーツ・プリーズ」、98年に発表された「A-POC (エイポック=A Piece of Cloth)」等のシリーズも「一枚の布」の概念から生まれたものであり、2010年には、同概念に基づいた「132 5. ISSEY MIYAKE」という新シリーズをスタートさせた。いずれのシリーズも、最先端の技術を用いることで、平面的な布でありながら、身体に無理なくフィットする作りとなっている。

補足情報

参考文献

Issey Miyake,Laurence Bénaim,Thames & Hudson,1997