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シルクスクリーン/スクリーンプリント/セリグラフ

Silk-Screen Printing/Screenprint/Serigraph
更新日
2024年03月11日

孔版技法の一種。枠に張った布を部分的に塞ぎ、スキージ(squeegee)と呼ばれるゴム製のヘラを用いて布目から支持体へインクを付着させる。下絵は反転しない。当初絹を使用していたことからシルクスクリーンと呼ばれたが、現在はテトロンなどの化学繊維が一般的。布目を塞ぐ(製版)方法はさまざまだが、利用頻度が最も高いのはフィルムを版に焼き付ける写真製版だろう。印刷対象の素材を選ばず曲面にも印刷でき、版の耐久性が高いため工業で盛んに利用される。布目の制約から細密な表現には向かないが、鮮明な色と均一な色面を特徴とする。1920年代より商業的に使用され始め、30年代にフィラデルフィア美術館のC・ジグロッサーは商工業製品と美術作品とを区別するために「セリグラフィ」の名称を提案した。スクリーンプリントが美術において高まりを見せるのは60年代で、J・アルバースやV・ヴァザルリらのオプティカルアートにはこの技法が適していた。そしてこの技法と最も密接なのがポップアートである。イメージと方法の双方においてコマーシャリズムと重なることで、ポップアートは「ポップ」足り得たといっていい。日本でも靉嘔や横尾忠則などこの技法を駆使する作家は多いが、これを普及したプリンター・岡部徳三の貢献は大きい。

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補足情報

参考文献

『シルクスクリーン』,植田理邦,美術出版社,1970
『シルクスクリーンの発想と展開』,小本章,美術出版社,1980