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ダンス・コンストラクション

Dance Construction
更新日
2024年03月11日

舞踊家のシモーヌ・フォルティが、《5つのダンス・コンストラクションズと他のいくつかのこと》において用いた作品タイトルの一部であり、フォルティ独自のダンスのアイディアを示す用語。もともと抽象画家を志していたフォルティは、即興的なダンスへと表現の方法を変えて以降も美術への関心を抱き続け、とりわけ彫刻には強い関心を抱いていた。1961年の5月に音楽家ラ・モンテ・ヤングが主催し、ニューヨークにあった美術家オノ・ヨーコのロフトで開催された「夕べ」の一作品として上演された《5つのダンス・コンストラクションズと他のいくつかのこと》では、ダンスを彫刻的に捉えようとするフォルティの考えが独自の方法によって追求された。同作品は「プラットフォームズ」や「ハドル」等と名づけられたいくつかの作例によって構成されており、そこではダンサーがジャングルジムやアスレチックの遊具に似た構築物を複数のダンサーや舞台美術でつくった舞台に置き、ダンサーはそれと実際に戯れた。ミニマル・アートの作家たちと共有する現象学的な思考を背景に、フォルティが求めたのは、ダンサーを知覚することと自分自身の身体を知覚することとの関係について、観客が意識する機会を与えることだった。また、観客はダンサーや構築物の周りを自由にめぐることができたが、そうした独自の上演空間によって、フォルティは観客席と舞台という劇場空間を明確に二分化する従来の発想から観客を解放しようとした。

著者

補足情報

参考文献

Handbook in Motion,Simone Forti,Halifax,1974
Judson Dance Theater: Performative Traces,Ramsay Burt,Routledge,2006

参考資料

Evening of Dance Constructions,Simone Forti,Microcinema,DVD,2009