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「日曜美術館」NHK

“Sunday Museum”NHK
更新日
2024年03月11日

1976年4月に放送を開始した美術番組(97年4月から2009年3月までは「新日曜美術館」)。これまで36年間、およそ1700回にわたり、毎週日曜の朝に放送されてきた、美術番組としては世界一の長寿番組である。60分の番組のうち、最初の45分はひとつのテーマを扱う特集で、残りの15分は全国の展覧会情報を発信するという構成である。特集は、特定の美術家や作品などについて、毎回ゲストに迎える著名人や美術家が思いや解釈を語るというスタイルで進行する。2012年現在のキャスターは、作曲・編曲家の千住明とNHKアナウンサーの森田美由紀。「日曜美術館」の意義は、美術家や作品の魅力を映像と言葉によって茶の間に届けていることである。わかりやすく、親しみやすい伝え方に徹しているため、展覧会や美術全集とは異なる水準で、啓蒙的な役割を果たしている。なかでも、83年頃まで続いた著名人による「私と○○」シリーズは、松本清張が岸田劉生を、寺山修司がマグリットを、司馬遼太郎が八木一夫を、武満徹がルドンを、そして手塚治虫が鳥獣戯画をそれぞれ語るなど、人気を集めた。80年からは現役の美術家の制作現場を訪ねる「アトリエ訪問」シリーズがはじまり、岡本太郎や中川一政、三岸節子、船越桂、奈良美智、村上隆らが制作する様子を放送した。2001年から全面的にハイビジョン撮影に移行して以来、作品の細部を克明に記録することが可能となり、映像アーカイヴとしての意義も高まっている。さらに、埋もれていた美術家を発掘するキュレートリアルな働きもあり、田中一村や石田徹也など、同番組をきっかけに世間に広く知られるようになった美術家も少なくない。

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補足情報

参考文献

『NHK日曜美術館30年展 名品と映像でたどる、とっておきの美術案内』,NHK、NHKプロモーション編,日本放送出版協会,2006
『NHK日曜美術館1976-2006 美を語る30篇』,NHKエデュケーショナル編,日本放送出版協会,2007
『芸術新潮』,「『日曜美術館』のつくりかた」,堀内信久,新潮社,2006年12月