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CBAE

CBAE(Community-Based Art Education)
更新日
2024年03月11日

CBAE(Community-Based Art Education=地域に基づいた美術教育)とは、地域社会との連携・協働を通じて、地域社会全体の活性化や芸術体験の深化を試みる美術教育の方法論である。DBAE(Discipline-Based Art Education=学問分野に基づいた美術教育)の流行が一段落した1990年代、アメリカの美術教育界では多文化主義やヴィジュアル・カルチャーの研究など、新たな美術教育の枠組みを求める研究が続いていた。そこで重視されたのは、DBAEがもっていた、教室内でアカデミックな知識を蓄える教育論を否定し、制作活動の結果よりもプロセスを重視し、活動を通じて他者との触れ合いを回復することである。CBAEはそうした試みのひとつであり、教室の枠組みを飛び越えて芸術系NPOやコミュニティ・アートセンターとの積極的な連携を特徴としている。小規模なものでは教室に美術家を招いてワークショップを行なうのが一般的だが、より大規模に壁画などのパブリック・アートの制作になると、美術教育だけでなく地域社会との連携や地域活性化もプロジェクトの目的に含まれる。このように、教育活動と制作活動が明確に区分できないため、単にコミュニティ・アートと呼ばれることも多い。CBAEの流行は、ワークショップやプロジェクト型の作品の流行と相関関係にあり、今日ではCBAEの方法論を援用したコミュニティ・アートのプロジェクトが世界各地で試みられている。課題としては、学校教育の宿命である成績評価の基準が明確ではなく、また準備に美術科教師が大きな負担を強いられることが挙げられる。

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補足情報

参考文献

Step Outside: Community-Based Art Education,Peter London,Heinemann,1994