Artwords®

KOTOBUKIクリエイティブアクション

Kotobuki Creative Action
更新日
2024年03月11日

2008年から始まった日本三大ドヤ(簡易宿泊所)街のひとつである横浜・寿町エリアを舞台としたアート・プロジェクト。住民の高齢化や減少により活力を失ってスラム化する恐れのある寿地域に、アーティストやクリエイターが介入することで新しい視点を持ち込み、地域住人と協働しながら活動を展開することや街の新たな可能性を生み出すことを目指している。事務局は寿オルタナティブ・ネットワークが務めているが、「KOTOBUKIクリエイティブアクション」は個々のプロジェクトの総称としてあるため、明確なディレクションは行なわれていない。プロジェクトはアーティストが主導で企画を行なう傾向が強く、地域住民と交流したりドヤに滞在する作家も多い。また、事務局やプロデューサー、アーティストなどが行なう街歩きツアーが定期的に開催されている。初年度は多くのアーティストが関わったが、来訪者と住人とのトラブルが懸念されたため、ツアーを完全予約制にするなど慎重にプロジェクトを進めていた。2年目以降は、通年展開でのプロジェクトとなり、神奈川大学曽我部研究室の「寿作戦」や、簡易宿泊所のフロントや廊下を使った「Porto Gallery」の開設、ニュースレターの発行など多角的な活動に広がった。10年にはアーティスト・浦田琴恵の発案で作家が主体的かつ長期的に街へと入っていく「寿合宿」が始まった。また事務局が「寿灯祭」や「寿お泊りフォーラム」を企画したり、アーティストが年末に炊き出しなどを行なう「越冬闘争」のボランティアに参加したりと、年々地域への取り組みが濃密になっている。

著者

補足情報

参考文献

『KOTOBUKIクリエイティブアクション2008-2010』,友川綾子、橋本誠編,寿オルタナティブネットワーク,2011
『寿合宿2010年春秋合併号』,浦田琴恵、加藤笑平、幸田千依、平魚泳、ユミソン編,寿オルタナティブ・ネットワーク,2011