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2012年06月01日号のバックナンバー

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フォーカス

オランダ:「水と空間」というデザイン市場

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[2012年06月01日号(笠真希)]

 水の国オランダでは、いま、建築・都市デザイン・ランドスケープの分野において、「水に空間を与える」という共通した新しい動きが発生している。これまでは排除すべき存在としてとらえられていた水を積極的にデザインに取り込み、新しい空間を提案してその魅力を高めていく。向かい風を追い風に変えていくその発想力に、オランダの強さがある。

キュレーターズノート

大震災から一年──岩手県の美術館

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[2012年06月01日号(伊藤匡)]

 東日本大震災で、岩手県内でも盛岡市など内陸部は、地震の揺れは激しかったものの大きな被害には至らなかった。それでも震災の影響は大きく、岩手県立美術館では予算が凍結されたため、予定していたすべての展覧会を中止するなど、各美術館は震災の対応に追われた。一年を経た現在、各美術館では従来の活動に戻ろうとする動きと、震災を契機とした動きが交錯している。

トマス・サラセーノ「クラウド・シティ」

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[2012年06月01日号(能勢陽子)]

 いまの日本ほど、汚染された大地を離れ、地震や津波の被害を被むることのない、“空中に住まう”ということを、リアルに思い描いてしまうこともないだろう。“空中に住む”ことは、20世紀半ばにさまざまな建築家によって夢想された。バックミンスター・フラーは、太陽によって暖められると、1,000人の住人を載せた直径1.5マイルの球体が宙を浮いて移動する「クラウド No.6」(1962)を考案したし、イギリスの建築家グループ・アーキグラムは気球で移動する“旅する空中都市”「インスタント・シティ」(1968)を提案した。オーストリアのヨナ・フリードマンは、ピロティの上に構造体を持ち上げる「空中都市」(1958-60)を提示したし、日本の磯崎新も増殖可能な空中にのびる虚構の都市「空中都市」(1960-62)を構想した。1950年代末から60年代に掛けて、世界中の建築家によって「空中都市」が構想された。地上を離れ、ひとつの場所に留まるのではなく、漂うように移動しながら暮らすことは、未来に向かう自由に満ちた大きな夢想を抱かせた。そのおよそ50年後、これら建築家たちのユートピア的な建築観・都市観が蘇生したように、トマス・サラセーノは、空中に浮かんだ球体が都市を構築する「クラウド・シティ」を制作する。

やなぎみわ演劇プロジェクト 第三部「1924 人間機械」

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[2012年06月01日号(植松由佳)]

 展覧会はすでに終了してしまったが京都国立近代美術館で開催された「すべての僕が沸騰する──村山知義の宇宙」展に関連して、やなぎみわの演劇プロジェクト『1924』の最後を飾る第三部「1924 人間機械」が上演された。演劇の評は専門の方にゆずりたいが、美術からの視線で触れられればと思う。

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