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2017年06月01日号のバックナンバー

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フォーカス

【ニューヨーク】グローバリゼーションにおけるアメリカ現代美術の行方──ホイットニー・バイエニアル2017

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[2017年06月01日号(梁瀬薫)]

 1932年から開催されている、バイエニアル展はアメリカ美術の動向を明瞭にする展覧会として毎回世界中から注目を集めている。2015年ダウンタウンのミートパッキング地区に移転してから初めての展覧会となる。アップタウンの落ち着いた美術館とは異なるロケーションでは観客の層と集客数も劇的に変わり、美術館の展示内容にも反映している。レンゾ・ピアノの建築による明るい空間とダウンタウンを四方に見渡すことのできる屋外展示スペースを駆使した今年のバイエニアル展は、ダイバーシティを掲げ、新しい時代へ向けてのアメリカ美術の方向性を明確にした。

キュレーターズノート

岡﨑乾二郎の認識 抽象の力―現実(concrete)展開する、抽象芸術の系譜

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[2017年06月01日号(能勢陽子)]

 本展は、豊田市美術館のコレクションに、他館や個人所蔵家の作品もお借りして、19世紀末から第二次大戦後までの時期を中心に、美術だけでなく、建築、音楽、文学、ダンスにまで及んで相互に連関しあう「抽象の力」を、新たに汲み取ろうとするものである。キュレーションは、作家である岡﨑乾二郎氏。勤務館の展示は、どうしても客観性に欠けたり、自画自賛になったりする恐れがあるので、活動報告としてはよくても、レビューとしては取り上げにくい。けれど本展は、岡﨑氏による企画(担当は千葉真智子学芸員)なので、ここでレビューとして扱わせてもらうことにする。なにより、美術の規範を形づくり、歴史の保存庫となるはずの美術館というものを、いま改めて考え直すためにも、この展覧会はとても重要なのである。

YCAMとラボ、14年目の遺伝子──創造の飛び火は誰に燃え移るのか

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[2017年06月01日号(菅沼聖)]

 開館14年目を迎える山口情報芸術センター[YCAM]。進化するアートセンターを標榜し、新たな価値を創るというベクトルは保ちつつも、毎年のように目まぐるしくその活動手法を変えていく。時代とともに、そして地方都市というスケールが可能にする「手触りのある社会」と呼応しながら、アーティスト、クリエイター、研究者、市民、すべての多様な創造性が混淆するプラットフォームを目指す。いま、その中核をなすラボ機能の可能性が大きな跳躍を見せている。「関係性をデザインする」ミュージアムエデュケーターの視点から、公共文化施設がラボを持つ意味、そして社会との有機的な接続の可能性を考察する。

風の沢ミュージアム 木村泰平個展「長い話」

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[2017年06月01日号(伊藤匡)]

 風の沢ミュージアムは、宮城県北部の平野部から丘陵に少し入った、里山の自然を味わえる所にある。取材に訪れた5月下旬、美術館前の水田は田植えが終わってカエルの合唱が聞こえ、敷地内ではツツジやオオデマリが白い花を咲かせ、美術館の裏山から眺める地域のシンボル栗駒山は、残雪を戴き悠揚たる姿を見せていた。

トピックス

[PR]サントリー美術館に聞く! 学芸員インタビュー「神の宝の玉手箱」

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[2017年06月01日号(佐々木康之/内田伸一)]

 「たまてばこ」と聞いて私たちがまず思い浮かべるのは、浦島太郎が竜宮城から持ち帰った、あの箱だろう。「開けてはならぬ」贈物のイメージはどこかミステリアスで、かつ内に秘められた大切な何かを暗示するようでもある。
 「神の宝の玉手箱」展(サントリー美術館:2017年5月31日〜7月17日)は、中世漆芸の技と美が結晶した「玉のように美しい手箱=玉手箱」の世界に迫る企画だ。目玉となるのは、同館が開館翌年の1962年に収蔵し、のちに国宝となった《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》。このたび約50年ぶりの修理を終えて以来の初公開となる。加えて各所から国宝・重要文化財指定の手箱や、装束、絵巻などユニークな関連資料が集う。
 日本の貴族社会にて生活のなかの美として生まれた手箱は、やがて意匠を凝らした嗜好品に発展し、さらに神宝としても奉納されるようになった。「北条政子の愛した7つの手箱」伝承や、ウィーン万博からの帰路に伊豆の海へ沈んだ名品の復元など、ドラマチックな要素も多い。当時の匠たちが手箱に詰めた美を現代にひらくべく、同展担当学芸員の佐々木康之氏にお話を伺った。

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