バックナンバー

2020年11月01日号のバックナンバー

イメージ

フォーカス

【インドネシア】赤道から世界へ──現代美術の主要エリアから

photo

[2020年11月01日号(廣田緑)]

2019年2月、ドクメンタおよびフリデリチアヌム美術館は、2022年に開催が予定されているドクメンタ15の芸術監督に、インドネシア、ジャカルタを拠点に活動するアーティスト・コレクティヴ、ルアンルパ(ruangrupa)を任命した。ドクメンタがアーティスト・コレクティヴを芸術監督に選出したことが初めてならば、アジア諸国からの任命も史上初めての事である。
東南アジアの現代美術は、80年代後半のグローバリズムの流れに乗り、欧米やオーストラリア、日本から関心が向けられた。福岡アジア美術館や国際交流基金アジアセンターはこの頃から積極的に東南アジアの現代美術を紹介している★1。それから30年がたったいま、インドネシアのルアンルパが、世界的権威ともいえるドクメンタの芸術監督に任命されるというニュースは、国際的なアートワールドでも驚きをもって受け入れられることとなった。
本稿では、東南アジア現代美術の代表となりつつある、インドネシア現代美術の動態を知る第一歩として、現代美術の活動場で開催される展覧会を各地域から紹介する。

キュレーターズノート

出会いと別れにまつわる港のノスタルジー──アッセンブリッジ・ナゴヤ2020

photo

[2020年11月01日号(能勢陽子)]

名古屋港は、遠くからでも大きな観覧車が見え、近づくと名古屋港ポートビルの展望室が聳えて、埠頭に行くとタロとジロの銅像が建っており、その先に海が広がっている。タロとジロは、1958年に南極の昭和基地に取り残されながら1年間生き延びた、あの健気な樺太犬である。観覧車や水族館にタロとジロ、そして競艇の場外発売場のある名古屋港は、その地の人々の暮らしが積み重なった歴史に加えて、レジャーを楽しむ場のある、どこか白昼夢めいた雰囲気が漂っている。そして港といえば、往年の映画に登場するような、「出会いと別れ」の場である。ただし、物流にともなう輸送はともかく、人々の移動がすっかり船から飛行機に代わった現在では、港の「出会いと別れ」にはどこかノスタルジーがともなう。今年で5回目を迎えたアッセンブリッジ・ナゴヤでは、港まちポットラックビルや旧・名古屋税関港寮を中心とした7カ所で、仮構性とノスタルジーを帯びたこの地だからこそ生まれた作品たちが、コロナ禍の状況のなかで展開されていた。

アーティスト・ラン・スペース in 広島

photo

[2020年11月01日号(角奈緒子)]

今年の主役はなんといっても新型コロナウイルス。いつもであれば四季折々に開催される風物詩的なイベントのほとんどが、そのせいで中止となったためだろうか、今年は季節が移ろう感覚すら鈍ってしまったように感じる。気付けば早11月、今年も終ろうとしている。相も変わらずコロナに振り回され続けているが、そんなコロナ禍中にもかかわらず、広島に新たにオープンした、アーティスト主導によるアートスペースを取り上げて紹介したい。

トピックス

いま、ここにいない鑑賞者──テレプレゼンス技術による美術鑑賞

photo

[2020年11月01日号(田中みゆき)]

この夏、休館を余儀なくされていた多くの美術館が再び展示室を開き、しかし、同時に多くの来場者を入れることはできないというジレンマに直面していた。そんななか、ロボットを使って遠隔地から鑑賞できる展覧会が話題をよぶ。「キュレーターズノート 」でおもに障害者とアート、インクルーシブな鑑賞方法について書いていただいている田中みゆき氏に取材いただいた。(artscape編集部)

artscapeレビュー

▲ページの先頭へ