KG+参加展。

写真を撮るために用意されているものは何もない場所に行って、そこで自分にとっての「写真」を探す。大阪の街を撮り始めたのは、昨年5月のこと。別に大阪らしさを求めたわけではない。都市と人のいる状況を客観する、そこに興味があった。ひたすら歩いて街と対話し、何かが見えたと思えば、手当たり次第にシャッターを切る。実際、写真との間に親密な関係さえ保てれば、天王寺から梅田までの距離も夢中で徘徊できたし、その道中には予期しない波風が起きたりもする。雑踏の中で途方に暮れ、目的を見失うこともある。そんな浮き沈みの最中、意図を超えた写真の「一枚」は、撮影する本人にも気づかない意外な瞬間に生まれているものだ。

たぶん私は、力づくでは動かない何かを、私なりのやり方で動かそうとしているのだと思う。(酒井一貴)