KG+参加展「西村勇人個展」・「酒井一貴個展」と同時開催。22点を紹介。

通りすがりの名もなき情景や役割を終えてしまったかのようなモノに向けてシャッターを切る。誰からも注目を浴びることなく、ひっそりと佇むそれらにも其々の物語があるのではないかと想像を巡らせる。何気ない日常の片隅に存在し、次に通りがかったときにはもう出会えないかもしれないモノたちに目を向け、そこに流れていた時間と此れからに想いをよせる。

暗室で焼いたプリントに、“雑巾がけ”と呼ばれる1920~30年頃に日本のアマチュア写真家の間で流行した古典技法を施して仕上げている。これもまた、埋もれていたことにもう一度光を当てて新たな物語を紡ぎたいという行為に他ならない。(川崎栄子)

*雑巾がけ・・・1920~30年(大正末期~昭和初期)頃に流行した、日本独自に修正技術が発展したとされるピグメント印画法。プリントにオイルを引き、その上に油絵具を塗って拭い落しながら調子を出していく技法。