アンリ・カルティエ=ブレッソン(Henri Cartier-Bresson, 1908-2005)は、第二次世界大戦の終戦直後に結成された写真家集団「マグナム」の創設メンバーとして、世界各国の歴史的瞬間を撮り続けたルポルタージュ・フォト(現地報道写真)と、美術や絵画に親しんだ思春期の経験が起点となり、論理的で美しい構図を強く意識した表現でも知られている写真家です。これらから彼独自の写真表現への評価が形成され、20世紀を代表する写真家のひとりとして位置付けられています。
本展では、大阪芸術大学が所蔵する「アンリ・カルティエ=ブレッソン自選コレクション」411点より、群衆を捉えた作品と、その対極になる人々が不在の作品をセレクトし、1926年から89年までの写真作品100点を公開します。カルティエ=ブレッソンが限られた画面の向こう側に見ていたものを想像しながら、私たちのいまの社会の有り様を各々が見つめ直す機会にもなれば幸いです。