本展は、2023 年1月に逝去した竹工芸家、勝城蒼鳳(かつしろ そうほう 1934-2023)を追悼する展覧会です。栃木県那須郡高林村(現・那須塩原市)に生まれた勝城は、自らが目にした自然の景色を伸びやかで力強い唯一無二の竹の造形へと昇華させ、2005 年、重要無形文化財「竹工芸」保持者(通称「人間国宝」)に認定されました。自然から受けた感動を「俳句」に詠み、極限まで抽象化し、そのイメージにあわせて新たな技法をも生み出しながら造形化する勝城は、まさに竹の“アーティスト”と言えるでしょう。また、「本は栄養」と語った勝城の蔵書は、古今東西の美術はもちろん、建築、文学、哲学、物理、天文と幅広く、その探究心が創作の原動力となっていたと考えられます。
本展では勝城の名品約60 件とともに、作品を読み解くヒントとなる俳句や、蔵書に書き留められた言葉、座右の銘などもあわせて紹介し、初期から晩年までの歩みをたどります。創造の源泉に触れながら、勝城が紡ぎ出す豊穣なる竹の世界をお楽しみください。[美術館サイトより]