平成2(1990)年、「人と自然が調和する潤いのある21世紀の創造」がテーマの「国際花と緑の博覧会」が大阪の鶴見緑地で開催されました。そのパビリオン「花と緑・日本画美術館」には、当時の日本画界を代表する画家50名による「花と緑」を題材にした作品が一堂に展示され、好評を博しました。       
 奈良県立万葉文化館は、『万葉集』に載せられた和歌をモチーフにして制作された「万葉日本画」を収蔵しています。そのなかには、自然を愛し、時には畏敬しながら表現を尽くすという『万葉集』以来の日本の伝統を受け継ぐ作品があり、これらは「花と緑・日本画美術館」の作品と共通のテーマを描いているといえます。                       
 本展では、「国際花と緑の博覧会」閉幕の後に公益財団法人佐藤国際文化育英財団 佐藤美術館に収蔵された「花と緑・日本画美術館」の作品とともに、当館所蔵の「万葉日本画」をあわせて展示いたします。日本画の巨匠達が「自然」というテーマをそれぞれの視点と感覚で表現した作品の数々をお楽しみください。