一点一画すべてが一回きり。その潔さが書の魅力。

筆で書いた線の軌跡が“書”です。いちど書いた線の上から線を重ねて修正することは基本的にありません。二度と同じ作品が生まれないのはもちろん、一点一画すべてが一回きりのものなのです。
そして書は、その筆脈を多くの人が共有できるところに大きな特徴があります。書には筆順があり書き直しをしないため、鑑賞者が筆の動きを読み取り、時間の経過をたどって作品が仕上がる様を追体験することができます。たとえ古い時代に書かれたものからでも、書いた人の息づかいを感じることができるのです。
今回の館蔵品展では、筆の動きを読み取りやすい行書・草書の作品や、淡墨で書かれた作品を中心に展示します。書においての「一回性」という特徴をこころに留めながら作品を鑑賞してみてください。書のおもしろさ、奥深さを感じるきっかけとなれば幸いです。

■展示品解説
5月10日(土)・6月1日(日)
各日 午前10時半~11時、 午後2時~2時半
学芸員が初心者向けに展示品の解説をします。事前予約は不要です。お気軽にお越しください。