一般に、碗や皿、壺などの器物は、それぞれの用途に応じて、おのずとその大きさが決まっています。例えば、抹茶碗なら掌にすっぽりと収まる寸法、洋食器のミート皿は23~25㎝の径、そして漬物壺はキッチンに収納でき、女性にも扱いやすいサイズといった具合。いずれも、飲食を中心とした慣習などによって定着し、それが今日にまで伝わってきました。
一方で、これらと同様の形状ながら、異なるスケール感を持ったものも存在します。ドールハウスのミニチュア食器や、見栄えよく大きなものが好まれる飾皿・飾壺などが代表例といえるでしょう。
本展覧会は、こうした「うつわ」たちを、「大きさ」という観点からから読み解いていくものです。当館の近現代陶磁器コレクションから、日本で作られた陶磁器による様々な大きさの作品を紹介します。そして令和5年度、新たに収蔵した人間国宝・加藤土師萌による畢生の大作であり、皇居宮殿に収められた《緑地金襴手飾壺(萌葱金襴手菊文蓋付大飾壺)》とほぼ同サイズの姉妹作《黄地金襴手菊文蓋付大飾壺》を最大のうつわとしてお披露目いたします。[美術館サイトより]