この度、表参道・ギャラリー同潤会にて、日本工芸会の正会員である中川正洋氏による作品展を開催いたします。着物、帯、屏風、染額など、珠玉の作品の数々を発表いたします。チラシ表面の作品「光彩秋麗」は、秋の表参道をイメージして制作されました。
中川正洋氏は、京都市の比叡山山麓にある八瀬(やせ)の工房「叡麓苑(えいろくえん)」を拠点に創作活動を続けています。
ぜひ、伝統を受け継ぐ友禅の世界をご高覧ください。

🎨 制作の場と技法
中川氏の作品は、真糊(まのり)、蒔糊(まきのり)、糸目糊、白付糊、一珍糊、写し糊など、日本古来の伝統的な防染糊に独自の工夫を加えて制作されています。
1. 独創的な美を表現する制作工程
京都・洛北八瀬の工房で、中川氏一人が、写生を基にした図案作成から染めまですべての工程を手掛けます。これらの防染糊を駆使した制作は、大変な手間と根気を必要としますが、その結果、天然繊維である絹が持つ本来の輝きを最大限に引き出し、独創的で格調の高い美しさを表現することを可能にしています。
2. 日本の伝統を支える防染糊「真糊(まのり)」
**真糊(まのり)**とは、室町・桃山時代には既に存在していたと考えられる、日本古来のでんぷん糊です。糯粉(もちこ)に糠(ぬか)と塩を加え、蒸して練り、再度炊き上げて作る大変防染力が強い天然の糊です。この糊は、最後に水で洗い流すため、素材や環境に負荷をかけないのが大きな特徴です。この真糊を基にして、他の様々な糊(糸目糊、蒔糊など)が作られます。
糯糊堰出友禅(もちのりせきだしゆうぜん)は、この真糊で生地の白く残したい部分を全て防染する高度な友禅の技術です。

👤 作家紹介:中川 正洋(なかがわ まさひろ)
中川正洋氏は、日本の伝統工芸を次世代に継承・発展させることを目的とする**「日本工芸会」の正会員**です。これは、日本の染織界におけるトップクラスの技術と実績を持つ作家であることを示しています。

日本工芸会 正会員
1950年 兵庫県洲本市に生まれる
1972年 京都にて友禅染を始める
1993年 第40回日本伝統工芸展 入選
1999年 日本工芸会正会員に認定
2003年 第32回日本伝統工芸近畿展 《日本伝統工芸近畿賞》
2011年 第45回日本伝統工芸染織展 《日経新聞社賞》
2024年 日本伝統工芸近畿展で鑑査委員、審査委員を務める

日本工芸会HP https://www.nihonkogeikai.or.jp/works/631/
HP https://www.eonet.ne.jp/~eirokuenn/
GALLERY JAPAN ※Artist profile and works available in English https://www.galleryjapan.com/locale/en_US/artist/55/