2026年03月12日掲載
大山友輝朗 個展「円環」
本展で発表する作品群は、作家自身が植物を育て、枯れた後に種を採り、再び植えるという日常的な実践から着想を得たシリーズです。種は世代を重ねることで土地に順応しながら循環していきます。こうした生命の連なりを、直線ではなく中心から外へと広がる環のような時間の構造として捉えています。また、作品の中心にある「種」という言葉は、仏教において仏を象徴する梵字「種子(しゅじ)」という概念とも重なります。作家は種と宇宙的な循環の思想が、どこかで重なり合うことに気づいたと語り、生と死を含みながら続いていく循環の感覚が、本展のタイトルである「円環」というイメージへと結びついています。
作品の多くは夜間に撮影され、闇の中で人工の光が当たる部分と当たらない部分の境界が写し出されています。そこには可視と不可視、あるいはこちら側と向こう側、という二つの世界がゆるやかに接続しています。また制作において大山は、現在でもフィルムによる撮影と、銀塩プリントにこだわり続けており、長時間露光によって光がフィルム上に蓄積していくプロセスを「光が体積していく」と表現します。光の痕跡が時間とともに重なっていくことで、像はゆっくりと形を現していきます。
生命の循環、光と闇の境界、そして長い時間の連なり。大山友輝朗の写真が示す、静かに広がる時間の円環を、この機会にぜひご高覧ください。
作家コメント
円環 / Annulus
この展示に向けて作品構成を考えているとき
古墳にまつわる古い記憶を思い出しました
それがいつのことだったかは覚えていないが
キトラ古墳の内部調査で撮影された天文図の絵柄が
新聞に掲載されていたものを
切り抜いて 机の前の壁に貼り付け
長く眺めていたが 徐々に色褪せ
絵柄が不鮮明になっていった
それでも妙に心を惹きつけられていたのに
いつしか失われてしまった紙切れのことだった
私は古墳を撮影し作品制作をしているが
それは その切り抜きを失ってからずいぶん後のことで
当時は「時間経過がもたらす変容」そのものを追っており
私の中でキトラ天文図と眼前の古墳は一つに結ばれてはいなかった
今回暗室での展示機会をいただき古墳作品の展示を考えたが
闇に置くべきは 日の下で変化し続ける古墳の姿ではなく
闇の中で浮かび上がるもの 古墳の内側
あの天文図だったんだと
古い記憶を呼び覚まさせてくれた
今回の展示は
私の記憶に残る 消えていく天文図の
その環の中にあった宇宙を想像し並べたものです
大山 友輝朗
- 展覧会名
- 大山友輝朗 個展「円環」
- 分類
- 企画展
- 会場
- GASBON METABOLISM
- 休館日
- 火・水・木曜休館
- 観覧料
- 無料
- 住所
-
408-0205 山梨県北杜市明野町浅尾新田12
- 公式サイト
- https://www.instagram.com/gasbon_gasbook/


