今から約100年前、日本社会は「大正浪漫」と呼ばれる時代の空気に包まれ、西洋化の進展とともに、和装と洋装が共存する新たなファッション文化が花開きました。同じ頃、中国でも近代化が進み、政治・経済・文化など多方面において東洋と西洋が激しく交錯し、やがて融合へと向かう時代を迎えます。そうした時代背景のもと、当時のモダン都市・上海で誕生したチャイナドレスは、女性のファッション史における革命的な存在の一つといえます。

 本展では、チャイナドレスコレクションとして名高い「謝黎コレクション」より、1900~1940年代の流行を代表するチャイナドレスを厳選し、纏足の靴や調度品、手刺繍の小物などとあわせて無料で展示します。

 「身にまとう・時をひらく」をコンセプトとする本展では、清王朝(1644~1912年)の満洲民族の服装「旗袍(チーパオ)」を起源とするチャイナドレスが、西洋ファッションの影響を受けながら、中国に何千年も受け継がれてきた伝統的な衣服形式「上衣下裳」から逸脱し、やがてモダン女性のファッションアイテムへと変化していく過程に焦点を当てます。各年代のチャイナドレスを通して、20世紀初頭、中国が封建王朝から近代国家へと移行するなかで生じた、女性の社会的地位の変化や身体的美意識の覚醒など、さまざまな側面における「ひらく」をテーマに掘り下げます。