空から降ってきた鳥の羽根をひろってきみわるがられたこどもだった
私はきみのわるいいろんなことをやめずにここまできた(ここまではきた)
なにかをえらぶとき 描くとき 自分の手のそばに目にみえない無数の手がそえられている
透明な羽根みたいに

小林知世




このたび、札幌在住の美術家・小林知世による個展「爪」を開催いたします。2021年の個展「doughnut」以来、仙台では約5年ぶりとなる本展では、Gallery TURNAROUNDとIGOONE ARAIの二会場を通じて、小林知世の現在の思考と制作をたどります。

絵画を中心に、日常に潜む曖昧な感覚や、自己と対象の境界に生じる揺れや重なり、違和感に着目しながら制作を続ける小林。淡い色彩や不確定な輪郭で構成される画面には、親密さと異質さが同時に立ち現れます。
具象と抽象、油彩やステイニングといった複数の技法を往復しながら、何度も境界を見直し、引き直すこと。それは、言語化されにくい感覚や規範からこぼれ落ちるイメージをすくい上げる試みでもあります。
本展では特に、身近に起きたいくつかの死と、それらにまつわる事象を起点に、選ばれなかったもの/継続されなかったもの/声として現れなかったものといった、可視化されない無数の条件や関係に支えられた、現在の背後にある複数の不在に目を向けた作品を発表します。
二つの会場を巡りながら、いまある風景の奥にあるものや、そこに重なる不在にも触れていただけたら幸いです。


主催 : TURNAROUND
共催 : IGOONE ARAI