海野光弘の作品の中から、働く手、祈る手、繋ぐ手、幼子の手など、時に瞳より心情を表すという「手」が印象的な、木版画作品を中心に展示いたします。
海野光弘の版画は、観る者に小さな物語を感じさせるだけでなく、和やかな気持ちへといざなう力を持っています。作中の子供のふっくらと柔らかな手からは無邪気さやはにかむ心が、年を重ねた大人の節くれだった手からは日々の暮らしや積み重ねてきた時の厚みがにじみ出ます。描かれていない、例えば後ろに組んだ手や、ポケットの中にしまわれた手でさえ、その形状や温もりを想像させる余韻を残します。
本展示では、変化の激しい時代の中にあっても、変わらない人々の心情に寄り添う作品の数々や、海野光弘の手が「描く」ために使い込んだ道具なども展示いたします。
「手」という繊細なモチーフを通じて、海野光弘が描き続けた、四季折々の日本の豊かな情景をご覧ください。