『東京パック』は、1905(明治38)年に石版四色刷を用いた日本初のフルカラー漫画雑誌として誕生しました。鮮やかな色彩とユーモアあふれる風刺漫画で人気を集め、政治や国際情勢、流行、暮らしぶりなど、その時々の社会を生き生きと伝えました。のちに第1次から第4次に分類されるこの雑誌は、発禁処分や休刊を繰り返しながらも1941(昭和16)年まで刊行され続けました。
本展では、目黒区美術館が所蔵する、1920年代から30年代頃にかけて制作された第3次・第4次『東京パック』の原画96点を中心に紹介します。作品が描かれたのは、関東大震災後の復興期から世界恐慌、戦争へと 向かう激動の時代です。社会の変化に戸惑い、不安を抱えながらも日々を生きる人々の姿は、時代を超えて現代の私たちにも重なります。
風刺画は、社会の矛盾や人々の本音を映し出し、ときに鋭く、ときにユーモラスに、時代を記録してきました。『東京パック』のページからは、歴史の教科書だけでは見えてこない、当時の人々の感情や社会の空気を感じ取ることができます。
また、本年は『東京パック』創刊者であり、日本初の専業漫画家として知られる北澤楽天の生誕150年です。これにあわせて、北澤が絵画主任を務めた子ども向け絵雑誌『子供之友』(婦人之友社刊)の原画を特別に展示します。子どもたちに向けて描かれた親しみあふれる作品からは、風刺漫画とは異なる北澤楽天の魅力もうかがうことができるでしょう。
『東京パック』と北澤楽天の仕事を通して、100年前の人々は、何に笑い、何に怒り、その結果どのような未来を望んでいたのか、現代の視点からふりかえります。