絹を重要な原料とする能装束は、生糸の一大生産地・群馬県にとって深い関わりがあります。これを縁に、山口能装束研究所の協力を得て、過去2回の展覧会を開催してきました。
山口能装束研究所は長年にわたり江戸時代の能装束を研究し、素材から技法に至るまで忠実に復原に取り組んできました。当館3回目となる本展では、能装束の中でも内着となる縫箔(ぬいはく)に焦点を当て、50領にも及ぶ縫箔を展示します。復原した縫箔には、世界でも最高峰とされる日本刺繍の精緻な技術と、上質な金銀の箔の輝きに彩られた美しさを見ることができます。これほど多くの縫箔が、一堂に展示されるのは、これまで例がないことです。
本展ではあわせて、令和7年に群馬県の重要有形民俗文化財に指定された養蚕・製糸用具を公開します。輝く生糸を作り出してきた群馬の蚕糸業の歴史に思いを馳せつつ、縫の精緻と箔の輝きをご堪能ください。