画家・吉岡雅哉(1981-)が継続して描くコンビニの風景画。郊外の道路沿いに建つコンビニが、昼と夜、異なる時間帯によって見せる様々な表情が印象派のタッチで描かれています。吉岡が初めてコンビニを描いたのは20年以上前にさかのぼり、その風景は継続して描き重ねられてきました。本展は、2025年に56点の作品を「コンビニ画五十六景」として一堂に会して以来、さらに作品数を増したコンビニ画による、これまでで最大規模の展示「コンビニ画百景」をご覧いただきます。

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吉岡雅哉 Masaya Yoshioka
1981年兵庫県生まれ
宮大工の家に生まれ育ち、伝統的な職人技術を習得し独立する一方、幼少の頃より西洋絵画を独学で学ぶ。現代性と民俗性が入り交じる田舎の景色を、様々な絵画様式によって描いている。2026年、アトリエの大改造を機に画家宣言を表明する。
主な受賞:トーキョーワンダーウォール賞(2008)、とよた美術展'07審査員賞(2007)、シェル美術賞 蔵屋美香審査員奨励賞(2006)、交換する種 Vol.2 アドバイザー賞(2006)

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日本の原風景

吉岡にとって、一度自分の絵のモチーフになったものとの関係は簡単には終わりません。モチーフは日常の生活のなかにあるからです。コンビニはその代表的な存在で、日に何度となく目にします。同じコンビニでありながら、景色は少しずつ異なっている。吉岡はそうした風景を繰り返し絵にしてきました。

描かれたコンビニのなかには、周囲の道路や建物が描かれた当時と変わっている場所や、すでに閉店してしまった店舗もあるようです。そして私たちにとって、もっとも分かりやすい変化の一つは、今では姿を消したブランドがあるということです。そうした変化を目の当たりにしたとき、郊外のコンビニは、どこにでもあるはずの景色でありながら、私たちの記憶のなかの「現代日本の原風景」でもあることに気付きます。

かつて戦前から戦後にかけて活躍した洋画家・向井潤吉(1901-1995)は、高度経済成長によって日本の風景が大きく変わっていくなか、失われつつあった茅葺屋根の民家を各地に訪ね、生涯にわたって描き続けました。二千に及ぶと言われるその絵画には、100年程前にはどこにでもあったはずの、今では失われた日本の原風景が描かれています。吉岡が描き続けるコンビニ画もまた、何気ない日常でしかなかった光景が、ある時代の姿を伝えるものへと変わる存在なのかもしれません。

だからこそ、本展の「百景」という数字も、シリーズの完成を意味するものではありません。2025年に「五十六景」と名付けたとき、56点で制作が終わったわけではなかったように、100点もまた、長く続く制作の途中に現れた一つの区切りです。見慣れていたはずの風景が、100点の絵画として並んだときに、私たちには何が見え、何に気付くのか。ぜひ会場でお確かめください。