本年生誕170周年を迎える同校図案科の初代教授をつとめた洋画家、浅井忠(1856-1907)をとりあげます。工部美術学校での研鑽を経て、東京美術学校西洋画科の教授に就任した浅井は、1900年に洋画研究のためフランスへとわたりました。帰国後、明治35年(1902)に開校した京都工芸繊維大学の前身校、京都高等工芸学校に赴任し、デザインの世界へ足を踏み入れました。同校では、新しいデザイン手法の基礎となるデッサン指導を担う一方、「黙語」の雅号で、陶器や漆器の図案を手がけ、明治40年には、自身の図案による陶器店「九雲堂」を祇園に開店させ、伝統的な意匠を好む京都の人々に新しい風を吹き込みました。本展では、最晩年の油画の大作《武士山狩図》から「九雲堂」の商品まで、洋画家としてまた図案家として、後進の育成と京都の伝統産業の近代化に力を尽くした浅井の活躍を、館蔵コレクションをつうじて振り返ります。