フォーカス

夏休みのグループ展は若いキュレーターが力量を発揮する大舞台。悪ぶるアーティストたちのショウタイム!

梁瀬薫

2011年08月01日号

B-B-B-BAD
2011年6月30日〜8月12日
Anna Kustera Gallery
http://www.annakustera.com/2011/07/bbbbad.html

 文字どおり「悪」をタイトルとした展覧会。ダグ・マックルモントとヴィジュアル・エイズのウェブ展覧会も手がけたビリー・ミラーによるキュレーションで、この夏最も注目を集めたグループ展となった。ポール・マッカーシー、ウルフガング・ティルマンを含む40人以上の最先端アーティストたちの作品が会場を埋め尽くした。グレゴリー・グリーンのバイブルの中に爆弾が組み込まれた《バイブルボム》、キース・ボードウィーの肛門丸出しで人を馬鹿にした写真作品、マーサ・フリードマンの樹脂の彫刻作品《机に置かれた舌》、ジェフリー・シャガワットの一見静かな湖畔だが、廃棄物が漂う写真作品《完璧なゴミ捨て場》、画家で蔵書家マット・ボルッソの「生まれながらの悪」という表現以外にないと断言できるほどの人物を描写した絵画《赤/緑》などなど、個人から社会までを網羅する品行不良や、邪悪な態度、極悪をも表現するような端的な作品のほか、抽象的で内面に迫ってくるようなジョナ・フリーマンの鏡の作品《サン・サン・インターナショナル・アーカイブ》、スコット・イウォルトのネオンによる作品《Can you take it?(耐えられる?)》などコンセプチュアルな作品も展覧会を盛り上げている。また、会場に置かれた小説家エドガー・アラン・ポウの『天邪鬼』(1850)の一説が印刷されたパンフレットはキュレーターのコンセプトを総体的に啓示しているようだ。詩の作品は耽美的で退廃的、小説作品は怪奇的でゴシック的スタイルで知られるポーの「美」は義務や真実とは依存関係を持たないという根本的な考え。ポーの『天邪鬼』(あまのじゃく)は、つまり人の言動にことごとく逆らう小鬼。日本の説話に出てくる天の邪鬼は、人の心中をさぐることがたくみで、口まね、物まねを得意とするが、人や神にさからい、最後にはぼろぼろにされてしまうという妖怪だとされている。


Gregory Green
Biblebomb #1884 (Praise the Lord and Pass the Ammunition), 2011
Mixed media
8 x 20 x 13 inches (with wooden book stand)


Matt Borruso
Red/Green, 2010
Oil on canvas over panel
52 x 36 inches


Mattia Biagi
Good Luck, 2010
Video, DVD, edition of 5


Paul McCarthy
Untitled (from Propo-series) (Fancy Tomato Ketchup), 1972/2009
Cibrachrome photograph, edition of 3
72 x 48 inches


John Waters
Decorative, 2009
Fiberglas, oil paint (edition of 5)
11 1/2 x 60 x 60 inches