2020年09月15日号
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フォーカス

「知らないこと」を起点に──竹田信平のマルチメディア・プロジェクト ALPHA DECAY α崩壊7

多田麻美

2012年11月01日号

 当然ながら、アート作品とは、「時、場所、観衆」によって、その効果や影響、ひいては使命を大きく異にする。このたび、メキシコのティファナから訪れた日本人アーティスト、竹田信平さんが、「2012年9月」というタイミングに、「北京」という場所で、「中国の人々」を対象に行なった、戦争の記憶をめぐるアートプロジェクトは、この「時、場所、観衆」を絶妙なかたちでそのアートのなかに取り込んだ結果となった。

ヒロシマ・ナガサキ ダウンロード

 今回のプロジェクトは、音楽パフォーマンス、インスタレーションの展示、ドキュメンタリー映画2本の上映という3つのパートからなり、具体的には9月27日のマルチセンサー的なパンク音楽のパフォーマンス「Ghost Magnet Roach Motel」、その2日後の29日、偶然か必然か、日中国交正常化40周年の記念日に始まったインスタレーション作品の展示、そして10月6日の『ヒロシマ・ナガサキ ダウンロード』、13日の『最も日本に近いメキシコ』の上映という順で行なわれた。
 このうち、2010年完成の『ヒロシマ・ナガサキ ダウンロード』は、インディペンデント映画を扱う世界各地の映画祭で注目され、カナダ・トロント新世代映画祭では観客賞を受賞した作品だ。7年間にわたり、北米と南米に住む広島と長崎の原爆被災者の証言を記録し続けてきた竹田さんは、やがて国連軍縮部からの依頼をもとに、被災者の記録50〜60人分を国連のウェブ・サイトにも提供することに。その一方で、それらの記録の一部、カナダとアメリカを高校時代の友人とともに巡った部分を、映画『ヒロシマ・ナガサキ ダウンロード』にまとめた。




『ヒロシマ・ナガサキ ダウンロード』より[提供:竹田信平]

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