logo
Recommendation
愛知  一藤木葵
..
 

exhibition名古屋城 本丸御殿障壁画復元工房

..
松竹禽鳥画襖絵(上段之間)重要文化財
松竹禽鳥画襖絵(上段之間)重要文化財

竹林豹虎図(一之間)重要文化財
竹林豹虎図(一之間)重要文化財
写真:名古屋城パンフレットより

 中日ドラゴンズがセ・リーグ優勝をしたからと言うわけではないが、名古屋ネタを。発信地はドラゴンズと並び、名古屋人の精神的なよりどころのひとつ、金鯱輝く名古屋城。
 名古屋城には現在、コンクリート製の復興天守閣が建っているが、太平洋戦争終戦の直前まで、江戸時代初期に作られた天守閣が残っていた。それと一緒に、二条城の二之丸御殿と並ぶ代表的書院建築だった本丸御殿も完全な形で保存されていた。が、1945年5月名古屋空襲の際、それらのほとんどが焼失してしまった。
 現在、名古屋市では、愛知県立芸術大学日本画保存模写研究会の協力で、この御殿を飾っていた狩野派による障壁画の復元模写に取り組んでいる。障壁画のうち、床の間絵、壁貼付絵は御殿とともに焼失したが、取り外しのできた襖、障子絵などは別の場所に移され焼失を免れた。それらを模写、また焼失した部分も資料をもとに復元していく。その絵が描かれた当時の絵の具や紙などの素材の復元、二条城などに残された同時代の類似作品の研究なども並行し、当時の状態を再現していくという。2010年までに、襖絵96面、天袋絵16面、障子絵14面、天井板絵650面、壁絵・杉戸絵100の合計846面を復元する予定だ。
 名古屋城の西の丸展示館「本丸御殿障壁画復元工房」では現在、この復元作業を窓越しに見学できる(ただし公開は金のみ)。なお、そのほとんどが重要文化財に指定されている障壁画の実物は、天守閣の展示室で順次公開されている。名古屋市では、将来的にこの御殿そのものも再現したいと考えている。来世紀、400年の時を経て、名古屋のシンボルが完璧な形に戻るのだろうか。
..
会場:名古屋城西の丸展示館
   愛知県名古屋市中区本丸1-1
会期:復元窓開窓時間 金曜のみ13:00〜15:00
   名古屋城入場 9:00〜16:30
   休園日=12月29日〜1月1日
入場料:名古屋城入場料一般・大学・高校500円/小・中学生100円 
問い合わせ先:名古屋城管理事務所052-231-1700

top

exhibition岡倉天心とボストン美術館

..
岡倉天心とボストン美術館

 おかえりなさい、日本。展示物にそんな言葉をかけたくなるような展覧会だ。この春にオープンした名古屋ボストン美術館の第2回企画展「岡倉天心とボストン美術館」が、10月23日から始まる。
 岡倉天心は、東京大学でフェノロサに学び、彼と共に古画の復興に勤め、東京美術学校、帝国博物館の設立に関わった。美術学校の校長を務めた後、在野の美術団体「日本美術院」を創設。その後1904年から、米国ボストン美術館の中国・日本美術部(現アジア・アフリカ美術部)の仕事に就き、部長まで務め50歳で没するまでの10年間、米国と日本を往復する生活を送った。
 ボストン美術館で彼は、「アジアはひとつ」のスローガンのもと、日本に加え、中国、朝鮮、インドまでを射程に入れた美術品の収集を行っている。今回の展覧会では、彼がアメリカで紹介した、横山大観ら当時の日本美術院の画家らによる作品のほか、彼が収集に携わった日本及び中国美術の作品などを展示。またボストン美術館に残された資料で、その足跡をたどる。
 第一回企画展「モネ、ルノワールと印象派の風景」がいかにもオープニング展らしく、日本人好みの印象派をテーマにした、大量動員を狙う展覧会だった。ヨーロッパのどこかの美術館から収蔵品を持ってきても同様の展覧会ができただろう。それだけに、今回の展覧会は、ボストン美術館の企画展らしい、地に足の付いた企画展のように感じる。この美術館の本領発揮といったところか。
..
会場:名古屋ボストン美術館
   愛知県名古屋市中区金山町1-1-1
会期:1999年10月23日(土)〜2000年3月26日(日)
   10:00〜17:00(金のみ21:00まで)休館日=月曜日、年末年始
入場料:一般1200円/高校・大学生900円/小・中学生500円
問い合わせ先:名古屋ボストン美術館052-684-0101

top

ヤノベケンジ個展
exhibition ルナ・プロジェクト「エマージェンシー・ショッパーズ」

..
ヤノベケンジ個展

 茨城県東海村で、国内初の臨海事故が起きた2日後にこの展覧会を訪ねた。ヤノベケンジの個展だ。
 彼は、1965年生まれの現代美術作家で、サバイバル・ディバイスをテーマにした巨大な作品で注目を集めたきた。1994年にヨーロッパにその活動の拠点を移したからは、特に放射能から身を守るといった作品が多くなった。
 例えば、放射能防護服「アトムスーツ」。装備されたガイガーカウンターによって放射能を測定し、周囲の人に警告を発するかのように胸の電光表示板がその数を刻む。「史上最強の映画館」という作品では、彼のチェルノブイリ訪問時のフィルムなどが上映される。
 今回の展覧会では、こうした最近の作品を展示している。展覧会自体は、大阪、東京と巡回してきたものの再構成に新作を加えたものだが、現在彼は、名古屋駅前のショッピングセンター「生活倉庫」の宣伝キャラクターとして、そこにも作品が展示されていたりする。また生活倉庫の紙袋は彼のデザインだ。したがって名古屋の街では、彼の作品が自然に目に入ってきてしまうのだ。
 展覧会で、ガイガーカウンターを搭載したアトム・カーに乗った。100円を3枚投入することによって走行するが、ガイガーカウンターが10回放射能をカウントすると車の全機能が停止する。その日、ほんのわずかの時間で車が止まってしまった。東海村の放射性物質が名古屋まで影響を与えたとは考えにくいが、不気味なものを感じた。
..
会場:現代美術館・名古屋
   愛知県名古屋市港区港町1-7
会期:1999年9月23日(火)〜11月3日(水)
   11:00〜18:00 休館日=月曜日、火曜日
入場料:一般700円/高校・大学生500円/小・中学生300円
問い合わせ先:現代美術館・名古屋052-654-5107

top

report美術ライター・レポート  一藤木葵 (いっとうぎまもる)

..
プロフィール

この1ヶ月の出来事。
1. ライチのスパークリングワインにはまった。某ホテルの中華料理店で飲んだスパークリングワインが非常に美味で、その後ホテルに問い合わせどこで売っているかを聞き購入。
2. モーニング娘。にはまった。新曲「LOVEマシーン」のインパクトのすごいこと。あの安っぽさ。踊りもコーラスもみんな安っぽくて軽いんだけど、それがいい。つんく、おそるべし。
3. ドラゴンズの優勝に燃えた。名古屋に来て4年。あんまり野球に興味もないし、ドラゴンズもそんなに好きじゃなかったのに、今年気が付けばドラゴンズファン。知らぬ間にすっかり名古屋人じゃ〜。

top

北海道
福島
東京
愛知
大阪
広島
岡山
福岡

home | art words | archive
copyright (c) Dai Nippon Printing Co., Ltd. 1999..