年末から始めた引っ越しがまだ終わらなかったり、年明けとともに身内が亡くなったりと、あわただしい21世紀の幕開けでござる。その身内の葬式をすませた晩に暗い気分で見に行ったのがこれ。スーパーの棚に置き去りにされた商品を撮ったアン・ダームスや、印刷物から植物の図版を切り抜いて床に立てた渡辺英司、サラリーマンからスーパーマンに変身する過程を3分間写真に収めたジュン・ヤンら6組の出品。他者とのふれあいやコミュニケーションをテーマにしている点で
「ギフト・オブ・ホープ」展と重なるところもあるが、なぜタイトルが「出会い」なのかよくわからない。それより、ここで行なわれる展覧会でいつも思うことは、白い巨大な空間がもったいないってこと。もっと汚い倉庫みたいな空間のほうが映える作品というのもあるし、今回の展覧会がまさにそういうものだった。理想的な空間が必ずしも理想的とは限らないんですね。
出品作家の島袋道浩氏が通りかかった人たちに、輪ゴムをくぐり抜けて下さいと参加を促している。途中まで頑張ったが、ゴムが切れた。切れたゴムが見つからなくてあたりを見まわしていると、髪の毛についていると島袋氏の相棒・野村誠氏が指差してくれた。村田さんはちゃんとくぐり抜けていた様子。皆いい大人が必死になって直径4cmほどの輪を伸ばしてくぐろうとする。大人も子供もないし(子供のほうが有利!)、ヒエラルキーも当然崩壊しちゃう。隣の人との距離も近くなる。この展覧会の出品アーティスト6組は、ヤン・ファーブルとイリア・カバコフという大物ユニットから、若干25歳のジュン・ヤンまで幅があり、作品の傾向はやや異なる。でもユーモアあふれた作品であることは共通している。