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Exhibition Reviews & Guide ..

スタンダード展
  9/4-12/16 直島の民家、空家など[香川]
 
 
スタンダード展
ハマトリのコーフンさめやらぬうちに、海外から来た客をヒコーキとチャーター船で連行し、瀬戸内海の小島に拉致してしまおうという国際的便乗展がこれ。直島の古い民家や廃屋に作品をインスタレーションしていく企画で、主催はベネッセの運営する直島コンテンポラリーアートミュージアムだ。直島は、北側には三菱マテリアルの精錬所があり、「濃硫酸」と書かれたタンクがあるわ山はハゲ上がっているわ、あまり人目にさらしたくない裏の顔、南側はベネッセハウスの開発したホテルや美術館、キャンプ場がある風光明媚な表の顔、そして島の住人はその中間に住んでいる。今回は、その表の顔が裏側や中間住人のところにあいさつがてら出張する試みで、民家を改造してパーマネントな作品にする「家プロジェクト」の展覧会版というべきもの。元牛小屋に牛肉100パーセントのマクドナルドのマークをおっ立てた中村政人、昔ながらの路地や家の門にのれんをかけた染色家の加納容子、100年以上も前に建てられた蔵に日本の初期の近代的なダムを撮った写真を展示した杉本博司、酒屋兼雑貨屋だった店内に自作を持ち込んでインスタレーションした大竹伸朗ら13人。これも結局ハマトリと同じなのだが、場所そのものを作品化するようなサイトスペシフィック・ワークは少なく、どこかですでにつくった作品を持ち込んだだけのものが多かったのが不満。

[9月3日(月)・4日(火) 村田真]
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伊庭靖子展
9/3-14 AD&Aギャラリー[大阪]
 
 
伊庭靖子展
キャンヴァスに近づいても筆の跡が見えない。また、グラデーションと言っていいのだろうか、曖昧な境界が輪郭をしっかりつくっている。果肉の一部など植物的なみずみずしさを視覚に訴えてくるペインティング。内側からほとばしるようなジューシーな作品は、味覚にまで訴えかえてきて、とても美味しそうだ。これから1年間ニューヨークに滞在して制作活動をするという。帰国後の変化が楽しみ。
[9月4日(火) 原久子]
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磯崎道佳展「おしたりひいたり−渋滞緩和」
  8/27-12/21 ZOOM[東京]
 
 
磯崎道佳展「おしたりひいたり−渋滞緩和」
テーブルの上に手製のミニカーが数千台、山と積まれている。そこにワイヤーで吊るされた磯崎くんが登場し、ボールペンをノックしてミニカーをばらけさせていく――。この日おこなわれた「渋滞緩和」のパフォーマンスだ。この日以外は磯崎人形がぶら下がっている。ところで、磯崎くんはその2日後に北海道の美術館学芸員の南部亜希子さんと結婚式を挙げ、4日後にはACCのグラントを得てニューヨークに旅立つ(ただし単身赴任)というおめでた続きだったのだが、4日後といえば運命の9月11日。JFKに向かう機中、アメリカの同時多発テロが勃発したためカナダのバンクーバーで降ろされ、バスでシアトルに連行され、そのままマリナーズの本拠地に1週間ほど監禁されたという後日談を聞いた。しかも彼、ニューヨークではエンパイアステートビルとワールドトレードセンターと自由の女神のあいだで伝言ゲームをするというプランを出してACCに受かったのに、肝心のワールドトレードセンターそのものがなくなっちゃったという信じられない話。そういえば、磯崎くんの初個展は1995年、いまはなきルナミ画廊で開かれたのだが、その初日の3月21日に地下鉄サリン事件が起こり、オープニングどころじゃなかったらしい。その後も彼が個展を開いたギャラリーは次々つぶれるし、このZOOMも磯崎くん以降は白紙状態。絵に描いたような疫病神、いや、運命の男なのだ。
[9月7日(金) 村田真]
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Drawing Part 2
  9/4〜9/9 ギャラリーそわか[京都]
 
 
30代の作家たちによるドローイング展。何も言わずに私が画廊を後にしたので、居合わせた出品アーティストたちが不気味がっていたらしい。あとになって、ほかの出品者からそのことを聞いた。ナンて言えばよかったのか…、言葉がなかったというのが、正直な感想なのだ。
[9月9日(日) 原久子]
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藤本由紀夫「四次元の書」
  8/4-10/13 CCGA現代グラフィックアートセンター[福島]
 
 
藤本由紀夫「四次元の書」
福島県のCCGA(現代グラフィックアートセンター)へ。おもに聴覚と視覚の問題をアートに昇華してきた彼の代表作を集めた個展。聴覚と視覚のかかわりとなると当然、文字や言葉、そして書物が問題となる(もちろんCCGAが大日本印刷の運営ということもあるが)。たとえば、『不思議の国のアリス』の一節を構成する文字をアルファベットのパスタから拾い、瓶詰めにした「Eat Me」。このパスタを食べることは読書か?と問う。「URVZ IMEZ」と書かれた作品は、これをそのまま発音すれば「You are busy. I am easy.」と聞こえる。また、「Printed Eye」と題する装置をのぞいてボタンを押すと強烈なフラッシュが焚かれ、なんと「CCGA」の文字が残像として目に焼きつく、といった趣向だ。この日は電卓やバーコードとリーダーを使った小コンサートも開かれた。うーん、このひかえめな知的おしゃれが関西で絶大な人気を誇る彼の秘訣なんだろうなあ。
[9月8日(土) 村田真]
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