Apr. 29, 1997 | Jun. 3, 1997 |
Art Watch Index - May 6, 1997
【《中国現代美術展》 ―ポスト天安門世代のラディカリズム】 ………………●建畠 晢
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《中国現代美術展》
ジャン・ホワン(張ホワン)
ワン・ジン(王晋)
ワン・ジン(王晋)
チェン・ユクキュン(陳 育強)
ガオ・ボ(高波)
ジャン・ワン(展望)
ワン・ゴンシン(王 功新) 写真:ワタリウム美術館
WATARI-UM http://www.cyber-bp.or.jp/ watarium/
ワタリウム美術館
中国現代美術展
天安門事件
天安門
文化大革命
Plexus: Tian-Miao Lin
Plexus: Gong-Xin Wang
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《中国現代美術展》 ●建畠 晢
周知のように、80年代来、日本の美術館ではブームと言いうるほどアジア各国の現代美術展が頻繁に開かれてきたが、中国にはなかなか目が向けられることがなかった。相手が巨大過ぎて容易には手が出せないということでもあっただろうが、何よりも天安門事件後の抑圧的な状況が公的な紹介を困難にしてしまっていたのである。しかし経済の開放政策の進展に伴って、この数年、アングラ的に展開されていた“中国アヴァンギャルド”の活動の情報が国外にも伝わるようになり、現地での調査もある程度は可能になってきた。原宿のワタリウム美術館で現在開催中の中国現代美術展は、そうした機運の中でようやく実現した若い世代の動向を紹介する展覧会である。 時代への対峙
さて本展で特筆すべきなのは、作家の全員が作品の設営やシンポジウム、パフォーマンスのために来日したことである。とりわけジャン・ホワンのパフォーマンスが実現出来たのは大きな収穫であった。実は一昨年、私は北京で何度か彼に会い、自らの肉体を危険にさらす荒事のビデオを見せられていたが、その過激さからいって到底、国の外に出るのは不可能ではないかと思っていたのだ。4月6日の早朝に行なわれたパフォーマンスは、中国から持ち込んだ木製の大車輪をビルの屋上に乗せ、それと道路を挟んだワタリウムの窓との間にベルを吊り下げた無数の輸血用のゴムチューブを張り渡し、ジャン・ホワンが全裸の体を車輪にもたせかけてチューブを揺すり続けるというもの。現代という時代に荘厳な歴史を宿した身体によって対峙するかのような、いかにもヒロイックな光景である。
[たてはた あきら/美術批評]
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