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ArtDiary ||| 村田 真のアート日記
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10月21日(火)

11時に、上野の森美術館の窪田学芸員に取材。今、上野から谷中にかけて「ART‐LINK上野‐谷中」と題するアートイベントが行われているが、窪田氏はその仕掛け人のひとり。
 美術館や博物館の集まる上野は、明治以降、日本の近代美術の中心地だったが、近年は上野発の夜行列車じゃなかった現代美術はすっかり影を潜め、代わりに元気のいいギャラリーが次々と誕生する隣町の谷中が台東区している。そこでふたつの地区のアートスポットを線で結び、両町とも活性化させようというのがこの企画だ。上野の森美術館では「赤塚不二夫展」のほか、「眠れる森の美術展」の中村正人が作品を設置。
 上野の森美術館ではこの時期、「マッタ展」を予定していたのだが、マッタ(の奥さん)がお台場にあるフジテレビの球体展望台でやりたいといい出し、急遽、池田20世紀美術館で開かれた赤塚不二夫展」を持ってきたってワケ。でも、観客動員数を考えれば「赤塚不二夫展」で正解だったと思うよ。平日の真っ昼間だっつーのに、会場は若いカップルでいっぱい。で、天才バカボン見て喜んでるんだもん。いったい日本はどうなるのか? もちろん、これでいいのだ。
 でも、おそ松くんの連載が始まった当時、少年サンデー読んでた身には懐かしかったでやんす。

10月24日(金)

ワコウ・ワークス・オブ・アートで、「ゲルハルト・リヒター展」のオープニング。あれ? リヒターってこんなに人気あったの? ってぐらいのスゴイ人数だ。いくら世界文化賞を受賞したからといったって、またいくら本人が会場に来てるからといったって、こんな人出は予想してなかった。大回顧展じゃないんだから。
 ところで、ドイツで「ゲルハルト・リヒター」と発音しても通じない。以前デュッセルドルフの美術館でリヒターのカタログを買おうとして、一生懸命Gerhard Richterをドイツ語風に発音しようとしたんだけど、まったくわかってくれなかった。ようやく向こうが「ああ、グァハート・リヒター!」と納得。どこが「ゲルハルト」だよ!

10月25日(土)

今日は1時半から上野の都美術館で「社会に飛び出すアート」と題するパネルディスカッション。その司会進行役だ。これは、 宮島達男らが推進する「柿の木プロジェクト」の報告会を兼ねたもの。
 12時に集合して、弁当を食べながら簡単な打ち合わせをする。出席者は宮島氏のほか、ロンドンにあるNPOのアート団体「アートエンジェル」のジェームズ・リングウッド、フランスの美術評論家カトリーヌ・グルー、フランスのアーティストで京都のヴィラ九条山というアーティスト・イン・レジデンスに滞在中のジャン・リュック・ヴィルムート、それにアートマネジメントの研究者、林容子さんといった面々。
今日はカスパー・ケーニヒの講演をはじめ、あちこちでアート関係の催しが目白押しなので、聴衆は少ないだろうと覚悟してたけど、70〜80人は来てくれたかな。打ち合わせでは、ひとり15分ずつの報告の後ディスカッションに入る予定だったのが、ひとり30分ずつに延びてしまい、ディスカッションの時間がほとんどなくなってしまった。まあ、逐次通訳が入るので予想はしてたけど……うーん残念、ぼくの司会進行のまずさも反省。
 その後、出席者全員で谷中のCASAで開かれる「柿の木プロジェクト報告展」のオープニングへ。途中、バスハウスに寄って窪田氏や中村氏とワインを飲んでたら、愛する妻が日経アートの塩崎さんと現れたのであわてる。いや別に悪いコトしてるんじゃないから、あわてることないんだけどね。3人でCASAに行って、ぼくは柿の木の2次会へ、愛する妻と塩崎さんは現代美術製作所の「大岩オスカール展」のオープニングへ。

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