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ArtDiary ||| 村田 真のアート日記
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12月2日(火)

ようやく仕事が一段落したと思ったら、今日から福岡の山野氏が泊まりに来る。今回の目的は、来年の「ミュージアム・シティ天神」の作家探しと、協賛を得るための企業まわり。山野氏はいったんぼくの仕事場に荷物を置いて、茨城県のアーカスから出てきた島袋道浩に会いに、ぼくは「モルフェ97」の森村泰昌と多田正美のパフォーマンスを見に行く。いや〜森村は静かに狂ってる。踊って歌って、でも目は座ってる!
 終了後、山野氏、島袋君、それに元名古屋市美術館学芸員で現在福岡在住、今なぜか東京にいる木方幹人氏と渋谷で合流。島袋君は茨城に帰れずに、山野氏と一緒にうちに泊まる。島袋君は先週に続いて2度目。まるでアーティスト・イン・レジデンス。

Art Infomation Index - Nov. 19, 1996
茨城県で《アーカス96》始動●村田 真

Art Infomation Index - Nov. 12, 1996
今年も青山界隈で《Morphe'96》開催●村田 真
12月4日(木)

午後4時、美術手帖編集部の桑原氏が来て、3月号のアーティスト・イン・レジデンス特集の打ち合わせ(いいのかね、バラして)。話が長引き、山野氏やPHスタジオの連中が集まり始めて、桑原氏もろとも宴会に突入。途中、川俣正のマネージャーの小池さんや古舘さんもサシミを持って乱入……。しかしこんな日記、知らない人が読んだら怒るだろうな。

12月5日(金)

有楽町朝日ホールでの「メセナ大賞97」贈呈式に行く。この贈呈式には、91年の第1回目に出席したきり出てなかった。クラシックの小コンサートがあったりして、なんとなくハイソでござい的な雰囲気が嫌だったからだ。今回出ようと思い立った理由はただひとつ、スタジオ食堂中村哲也が贈呈トロフィをデザインしたというので、それを見たいがため。
 しかし、メセナおやじのあいさつや祝辞の退屈さは、続く審査委員フォーラムで浅田彰が混ぜっ返してくれたから帳消しにするとして、舞台ディスプレイにせよBGMにせよ、贈呈の際に舞台上をチョロチョロするミニスカのねーちゃんにせよ、なんでここまで悪趣味にするかね。まあ、企業おやじのレベルに合わせたといえばそれまでだが。
 中村哲也のトロフィは、内部をトロフィの形にくり抜いた樹脂製のオベリスク型。それはいいんだけど中村君、舞台上でアイサツするにしても、スーツ姿でソツなく受け答えしたってせいぜいサラリーマン並みにしか見られないぜ。一発カマしてやればよかったのに。

12月9日(火)

「光をつかむ」展を見に、O美術館へ。「光」を素材にした展覧会なのに、どの展示室もほとんど真っ暗。そりゃまあ闇がなければ光はつかめないけど。それより、赤・青・黄色のホンモノの信号機を持ってきたり(有地左右一+笹岡敬)、展示室でロウソクを燃やしたり(渡辺好明)、近所の小学校や歩道橋に作品を設置したり(吉田重信)、学芸員の苦労がしのばれる展覧会でした。
 渋谷に出て、Bunkamuraザ・ミュージアムの「コーポレート・アート・コレクション展」へ。日本の企業が所有する西洋絵画を集めたもの。出品作品60点中、モネとルノワールが8点ずつ、ピカソ5点。その他、コロー、ピサロ、ユトリロ、フジタ、シャガールなど。つまり、ほとんどが印象派とエコール・ド・パリに占められているのだ。カタログの阿部信雄氏の序文によれば、日本人の印象派好きは、1920年代にヨーロッパで買いまくった松方と大原の2大コレクション以来のこと。この70年間、企業おやじの趣味はちっとも進歩してないってわけだ。
 疑問をいくつか。カタログには出品企業名が載ってはいるものの(アコムからレイクまで金融関係が目に付く)、どの作品がどの企業のコレクションか明記されていないのはどーゆーワケか? そもそも「メセナ展」と称しながら、入場料1200円、100ページ足らずのカタログが2200円もするのはWhy?
 うーむ、今回は「裏メセナ日記」みたいになってしまったぞ。

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