展覧会カタログ、アートやデザインにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。

 

アートワーカーズ──制作と労働をめぐる芸術家たちの社会実践

著者:ジュリア・ブライアン゠ウィルソン

訳者:高橋沙也葉、長谷川新、松本理沙、武澤里映
発行:フィルムアート社
発行日:2024年3月26日
サイズ:A5判、408ページ

芸術に関わるすべての行為を〈労働〉と捉えたアートワーカーたちは、芸術作品/仕事(アートワーク)の意味を拡張し、ベトナム戦争時代の社会不安に立ち向かう。1969年に設立された「アートワーカーズ連合」や、翌年に同連合から派生した「レイシズム、戦争、抑圧に抵抗するニューヨーク・アート・ストライキ」のアクティビズム的な熱を帯びた活動は、ミニマルアートやコンセプチュアルアートなど、制度としての芸術に異議を唱える動向と密接に関係しながら発展していく。しかし、内部に多くの矛盾や葛藤を抱えたその活動は短命に終わってもいる。

本書では、ミニマルな作品によって「水平化」を目論んだカール・アンドレ、ブルーカラー労働者との同一化を夢想したロバート・モリス、批評や小説の執筆、キュレーションという「労働」を通してフェミニズムに接近したルーシー・リパード、そして情報を提示する作品によって制度批判を行ったハンス・ハーケという4人の作品や活動を徹底的に掘り下げるケーススタディから、アートワーカーたちによる社会への関与の実相を明らかにする。

発行元ウェブサイトより]

 

「教授」と呼ばれた男──坂本龍一とその時代

著者:佐々木敦
発行:筑摩書房
発行日:2024年4月9日
サイズ:四六判、520ページ

膨大な作品群を遺した坂本龍一。時代精神といかに対峙し、音を紡いでいったのか。多面的な軌跡の根底には何があったのか。「教授」と呼ばれた男をめぐる批評の書

発行元ウェブサイトより]

 

ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?──国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ

著者:飯山由貴、梅津庸一、遠藤麻衣、小沢剛、小田原のどか、坂本夏子、杉戸洋、鷹野隆大、竹村京、田中功起、辰野登恵子、エレナ・トゥタッチコワ、内藤礼、中林忠良、長島有里枝、パープルーム(梅津庸一+安藤裕美+續橋仁子+星川あさこ+わきもとさき)、布施琳太郎、松浦寿夫、ミヤギフトシ、ユアサエボシ、弓指寛治
発行:美術出版社
発行日:2024年3月23日
サイズ:A4変型判、312ページ

国立西洋美術館での企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?──国立西洋美術館65年目の自問|現代美術家たちへの問いかけ」(2024年3月12日~5月12日)の開催にあわせ、参加作家によるインタビューと論考を収録した書籍。

(中略)

本書では、「現代作家にとって美術館はどのような存在か?」「日本に“西洋”美術館がある意味とは?」「いまの美術館の課題とは?」といった問いに対する、作家の視点からの率直な応答を掲載しています。さらにそれぞれの作家が同館で展示することの可能性をどのように見出しているのか、これまでの活動を振り返りつつ、本展出品作の内容についても語られています。

発行元プレスリリースより]

 

社会包摂のためのアートプログラム入門──クリエイティブな活動がひらく健康・ウェルビーイング

著者:野呂田理恵子
発行:水曜社
発行日:2024年3月25日
サイズ:A5判、224ページ

アートが “人々” の中に入っていくことで、皆の意識を変え社会を変えることが可能となる。社会的孤立・排除に対抗する社会包摂のためのアートプログラム(APS)を提案する。

アートは弱者を社会的排除から救えるか? 
筆者は、社会包摂政策の先進国・イギリスのアーツ&ヘルス政策を学び、参加型アートプロジェクトが社会へもたらす効果を研究。バーミンガム子ども病院では、思春期の患者らを対象にしたアーツ・イン・ホスピタルにボランティアとして参加するなど実践を重ね、日本国内ではプログラムの企画者としても取り組んだ。その成果を、参加者全員の行動変容をもたらす「次世代ユニバーサルイベント」として考案、提唱する。

発行元ウェブサイトより]

 

日本の近代思想を読みなおす3 美/藝術

著者:稲賀繁美

責任編集:末木文美士、中島隆博
発行:東京大学出版会
発行日:2024年3月11日
サイズ:四六判、448ページ

ヨーロッパの基準で日本文化を判断し、そこにいかなる「美」の存在、むしろ不在を認定するか、あるいはいかなる「藝術」の発見を認知するか、それとも否認するか、その闘争の場として「日本の近代思想」における「美/藝術」は「読みなお」しを迫られている。本書はその視角から美/藝術を活写する。

発行元ウェブサイトより]

 

プロヴォーク 中平卓馬をめぐる50年目の日記

著者:柳本尚規
発行:読書人
発行日:2024年2月2日
サイズ:四六判、440ページ

総合雑誌『現代の眼』編集者時代に東松照明、寺山修司らの連載を担当していた中平は、同時代に活躍する表現者たちの仕事に触発され「写真家になる」ことを決意する。やがて中平は多木浩二、岡田隆彦、高梨豊とともに、写真同人誌『プロヴォーク』を1968年に創刊(2号目からは森山大道も参加)。わずかに500部が製作され、3号まで刊行されるも終焉を迎える。『プロヴォーク』はその希少性からいまやヨーロッパをはじめ世界中の写真に関心を持つ人々には伝説として語られている。

(中略)

自身の姉が『現代の眼』を発刊していた現代評論社に勤めていたことを縁に中平卓馬と知り合った著者・柳本尚規。20代後半から30代前半当時の中平卓馬と行動を共にし、その姿を最も傍で見てきた一人である著者が、伝説になる前の等身大の中平卓馬の姿を描く回想記。

版元ドットコムより]

 

ポケモン×工芸 美とわざの大発見

編者:国立工芸館
発行:東京美術
発行日:2024年4月1日
サイズ:B5判、168ページ

人間国宝から若手まで20名のアーティストが、「工芸」の素材と技法でポケモンと「真剣勝負」。そのひらめきと悶えと愉しみの中から生まれた約70点の作品を掲載。工芸ならではの豊かな物質感と卓抜のわざが極めた、ポケモンの思いがけない表情を堪能できる。「ポケモン×工芸展 ―美とわざの大発見―」公式図録。

発行元ウェブサイトより]