会期:2024/04/20~2024/05/14
会場:GALLERY KTO 原宿[東京都]
公式サイト:https://www.gallery-kto.com/

蓮井元彦は、亡くなった母親の記憶を辿るように、2023年と2024年に、家族旅行でよく行ったという新潟を訪れた。そのときに撮影した写真を集成した今回の展示が、どうしても「私写真」の様相を帯びざるをえないのは、その経緯からも明らかだろう。だが彼には、個人的な体験に収束していきがちな「私写真」のあり方に対して、割り切れない気持ちがあったようだ。それらをなるべく「自分の手から離れるようにして」、他者にも共有できる形で提示したいという思いが強まり、結果的に今回の写真展示はやや変則的な形をとることになった。

メインの展示は、壁に設置した2台のモニターに画像を流すスライドショーである。そこでは、2023年と2024年のそれぞれの旅に際して撮影された写真、計124枚を同時に見ることができる。大部分はモノクロームだが、カラー写真も何枚か混じっている。同時に目に入ってくる2枚の写真の組み合わせは、まったくの偶然だという。さらに新潟市内の雪捨て場を、ほぼ同じポジションから撮影した2枚の写真が、大きめに引き伸ばされて並置されている。同じ雪捨て場の写真を分割してプリントし、それらを碁盤の目状にインスタレーションした展示もある。つまり、写真の見せ方にバイアスをかけることで、私的な物語(特に母と子という物語)への傾きを注意深く回避しようとしているのではないかと思う。

そのもくろみはかなりうまくいっていた。だが、それがさらに普遍的に共有できるような段階にまで達しているのかといえば、まだそこまでの強度と包容力は持ちえていないように感じた。このような試みを積み重ねていくことで、蓮井の真摯な写真表現の探求が、より実り多いものになっていくことを期待したい。

鑑賞日:2024/04/20(土)