〈I'm here 2007〉は山形市内の画廊、喫茶店、商業ビルなど五会場で開かれた。もともとは同市の東北芸術工科大学卒業生の展覧会として、仙台市で過去2回開催していた。3回目の今年は山形市に場所を移し、さらに閉じられた展示空間から開かれた街に入りこんだ開催となった。〈根の街へ〉というサブタイトルは、制作の立脚点としての地元を見直し、地域とアートのより深い関わりをめざすということだろう。
各会場が離れているため祭りの雰囲気は薄いが、地図を片手に街を探訪する面白さがある。出入り自由の画廊や喫茶店よりも、このような時でなければ入れない空きビルなどで、その空間でしか成立しないアートを見ることができると得をした気分になる。その点では、改装予定のビルの一室で、壁紙をはがして壁に直接ドローイングした後藤拓朗の作品が楽しめた。