ベトナム近代展絵画展
南北に国土が細く伸びるベトナム。現在、その優美なセンスで形作られた工芸品や雑貨類などは、日本人の感性を刺激し、我々の生活の一部を彩りつつあります。激動の時代、ベトナム文化は、フランスや中国など、様々な国からの影響を受けながら、融合や変容を繰り返してきたわけですが、本展では、独自の発展を遂げた近代絵画に注目します。
ベトナムの画家たちは、伝統的な絹絵、漆絵、木版画の世界に、西洋的な技法や感覚と伝統的な要素を合わせて新たなる展開を試み、また新しい油彩という分野では題材を身近なところに求めつつ、それまでなかったモダンで優美な人物像や風景画を作り出していきました。「戦争」という時代背景も、絵画の制作の重要なテーマでした。
本展では、ベトナム近代絵画のパイオニア的作家の作品、漆絵の巨匠でインドシナ美術学校初のベトナム人教師グエン・ジア・チイの華やかな漆絵、フランスの展覧会で評価を得た絹絵の世界を方向付けたグエン・ファン・チャンのベトナム国内の何気ない日常を描く情緒ある作品、西洋の油絵をベトナムに紹介し、その後社会主義リアリズムの道を開拓したト・ゴク・ヴァンの初期の優美な人物像、チャン・チュン・ティンの新聞紙に描く武器を持つ少女像など多彩な作品70余点を紹介します。
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