柄澤齊展
10/28〜12/24
神奈川県立近代美術館鎌倉
［神奈川］
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BankARTスクールの「美術館ツアー」で受講生を連れて見学……のつもりが、講師が遅れてしまい、受講生たちはすでに館内に入って鑑賞中。なんだ、これなら講師はいらないじゃねーか。柄澤は最近ではミステリー作家としても知られるようになったが、木口木版画の第一人者。木口木版というのは、ふつうの木版が木を縦割りにした面（板目）に彫るのに対し、ツゲや椿などの堅い木を輪切り（木口）にしたものを版木にし、ビュランと呼ばれる鋭利な刃物で細く線刻していく技法。だから棟方志功みたいな大ざっぱな木版画と違って、銅版画のように繊細で濃密な世界を築くことができる。柄澤はそんな木口木版の特性を生かし、30年以上にわたってマニエリスティックな闇の世界を構築してきた。ノワールな作品イメージの魅力もさることながら、くさい文学性を排除してきたモダニズム末期の70年代から、一貫して文学性をふんぷんと漂わせ続けているブレのなさに感動する。
［12月16日 村田真］
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