ぼくらの小松崎茂
10/7〜12/3
逓信総合博物館
［東京］
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絵物語やマンガ、プラモデルの挿絵などさまざまな分野で活躍した小松崎茂の本格的な回顧展。大衆文化の発展に同伴しながら媒体を転々としてきた小松崎の活動の軌跡は、戦後文化史の展開とほとんど重なり合っている。これらをボックスアートとして評価することも必要だが、それ以上に気になったのは会場を訪れ熱心に鑑賞していた初老の男性たちだ。彼らにとって、小松崎の画風は幼少期の原体験を直接的に形成するイメージそのものであり、だからこそ黙々とアンケートに思いの丈を書き込んでいたのだろう。こうした光景を目の当たりにするたびに思うことだけれど、どうにかしてこのモチベーションを何かしらのクリエイティヴなエネルギーに転化できないものだろうか。かりにそれがノスタルジックな欲望に根づいているものだとしても、これをたんなる鑑賞経験に押しとどめておくのはあまりにも惜しい。物質を見せるのが20世紀型の展覧会だったとすれば、これからの展覧会はそうしたさまざまな創発的な運動を触発する媒体へと変容していくべきではないか。それでこそ、市民への魅力的なサービスといえるだろう。
［11月30日 福住廉］
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