伊東豊雄──建築｜新しいリアル
10/7〜12/24
東京オペラシティアートギャラリー
［東京］
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建築展といえば、こぎれいにまとめられたミニチュア模型を、さも工芸品の繊細な技術を堪能するかのように鑑賞するのが常だったが、今回の展覧会は会場全体を使って建築の空間を再現する仕掛けとなっていた。無機質なグリッドに代わる有機的な概念として伊東が提唱しているという「エマージング・グリッド」を体感させるため、大規模な曲面の床をしつらえ、その上をじっさいに歩かせることによって、その有機的な曲面を身体と知覚に直接的に働きかけていた。それは一面では伊東がいう「物質のもつ力」を体感させる体験型の展示構成ということなのだろうが、見方を変えれば土建屋の力技が存分に発揮されたということでもある。展覧会の最後に建設会社や工務店のロゴを入れたヘルメットがずらりと展示されていたが、これらの土建屋がこれまでの日本の文化や経済を支えてきたことを考えると、このきわめて日本的な土壌を乗り越えないかぎり、ほんとうの意味での「新しいリアル」を獲得することはできないのではないか。
［12月15日 福住廉］
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