廃材芸術。廃棄された工業製品によって作られた美術作品の総称。作品の形態としては、廃材を寄せ集めたアサンブラージュとして制作されることが大半であり、その意味では彫刻・立体作品に分類される。一般に「ジャンク・アート」の始祖は、キャンヴァスに廃材を埋め込むコラージュやアサンブラージュを制作したドイツのダダイスト、K・シュビッタースと言われ、以来「アンチ・アート」的な側面を持つ様式としてカテゴライズされてきた。この動向の中心的作家と目されるセザールやJ・チェンバレンらが1950年代に手がけた一連の作品は、戦後の消費社会に対する批評性を帯びた「ジャンク・アート」の反芸術的性格をストレートに物語っている。60年代末になると、「アルテ・ポーヴェラ」や「シュポール/シュルファス」「もの派」でも廃材を用いた作品の制作が試みられるようになるが、ポスト工業社会を経過した後の作品は、また違った角度からその批評性が分析されねばなるまい。
(暮沢剛巳)
|